ナフサ不足、国内製造業の3割に「調達リスク」あり 特に影響を受ける3業態とは:帝国データバンクが調査
中東情勢の緊迫化で、原油から精製されるナフサの供給・調達への不安が強まり、国内産業に影響が広がっている。帝国データバンクは保有する企業データベースのうち、ナフサ関連のサプライチェーンについて調査を実施した。
エチレンやプロピレンなどの基礎化学品、合成樹脂などの中間材料を経て、最終製品である電気製品や自動車部品、衣料品、医薬品などになるナフサ。幅広い産業のサプライチェーンの上流を支える、重要な原材料だ。そのため、ナフサやナフサ由来製品の供給制限や価格高騰は、川下に位置する多くの製造業に影響が及びやすい。
中東情勢の緊迫化で、原油から精製されるナフサの供給・調達への不安が強まり、国内産業に影響が広がっている。帝国データバンクは保有する企業データベースのうち、ナフサ関連のサプライチェーンについて調査を実施した。
ナフサ不足、国内製造業の3割に「調達リスク」の可能性
主要な化学製品メーカー52社から直接・間接的(二次流通まで)に仕入れる製造業は全国で4万6741社と、製造業全体の約3割を占めた。同社は「供給制限や高値が続けば、中小製造業の経営を圧迫し、製品価格を通じて生活にも影響が及ぶ恐れがある」と指摘する。
企業規模別では資本金「1000万〜5000万円未満」が2万7956社(59.8%)と最も多かった。「5000万〜1億円未満」(6321社)を含めた「資本金1億円未満」の中小企業は4万1417社で約9割を占めた。
サプライチェーン上の社数が多く、最もナフサ高騰による影響を受けやすい、つまりナフサ依存度が高い業態は「化学工業、石油・石炭製品製造」で3148社(67.2%)が該当した。プラスチックや合成繊維・染料、医薬品や化粧品、農薬などの原料・中間体を製造する「環式中間物製造」(88.4%)、酢酸ビニル樹脂やエポキシ樹脂を原材料とした合成接着剤を含む「ゼラチン・接着剤製造」(87.3%)、洗濯洗剤や自動車用塗料などに使用される「界面活性剤製造」(84.0%)が含まれる。
次いで割合が高い業態は「ゴム製品製造」で817社(51.5%)が該当した。中でも自動車や船舶、航空機用のゴム製部品製造を担う「工業用ゴム製品製造」(53.9%)、防振用ゴムなど土木・建築用、自動車向けシーリング材、医療・工業用グローブなど産業用、輪ゴムほか民生品などを含む「他のゴム製品製造」(51.2%)が半数を超えた。
その他「パルプ・紙・紙加工品製造」(48.9%)では、ハンバーガー包装紙やコーヒーフィルターなどに使用されるポリエチレンラミネート紙などの「塗工紙製造」(80.1%)、セメント袋や米麦用袋など「重包装紙袋製造」が(71.6%)が上位を占めた。
足元では、ナフサから精製する基礎化学品のエチレンを減産する動きもあり、塗装用シンナーなどの溶剤をはじめ、関連製品の調達が難しくなっている。プラスチックや合成ゴムなどでも影響が出ている。
帝国データバンクは「石油化学製品のサプライチェーンは裾野が極めて広く、食品や日用品など生活に身近な品にも間接的に広く関わっている。当面は多くの製造業で連鎖的な事業縮小リスクにさらされることになる」とコメントした。
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