なぜコストコは圧倒的な成長を続けられるのか? 「安売り」だけじゃない人気のカラクリ(4/4 ページ)
小売業の中でも圧倒的な成長を続けるコストコ。その裏側を専門家が解説する。
日本企業が参考にすべき「3つのポイント」とは?
重要なのは、こうした施策が全て「価格以外の価値」だという点です。
コストコは確かに低価格を維持していますが、それはあくまで前提条件であり、成長のドライバーではありません。むしろ現在の成長を支えているのは、「体験によって来店頻度を高める設計」です。
この視点で見ると、コストコのビジネスモデルは大きく異なる姿を見せます。つまり同社は「商品を売る企業」ではなく、「購買行動を設計する企業」なのです。
アマゾンが「検索→購買」を最適化した企業だとすれば、コストコは「来店→体験→購買」を最適化した企業と言えます。この違いは本質的です。オンラインでは検索効率が重要ですが、リアル店舗では「行く理由」と「滞在体験」が重要になります。コストコはこのリアルの強みを最大化しています。
日本企業への示唆も明確です。
1点目が、価格競争ではなく構造設計で勝つことの重要性です。2点目は、顧客を会員化し、継続的な関係を築くこと。3点目は、DXを単なる効率化ではなく「体験の最適化」として捉えることです。コストコの成長は、単価・頻度・継続率というLTVの3要素を同時に引き上げる設計の結果なのです。
コストコはもはや「安売りの店」ではありません。LTVを最大化するために設計された、完成度の高いビジネスモデルであり、日本の小売業においても取り入れるべき価値を多分に備えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
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