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リテールメディアに潜む“ウソ”の正体 「ROASは高いのに売り上げが伸びない」のはなぜか?: がっかりしないDX 小売業の新時代(2/3 ページ)
「ROASは高いのに売り上げが伸びない」──。商品データ基盤なきリテールメディアの成果報告は、砂上の楼閣です。
広告の“本当の効果”を「測りたくない」構造がある
技術的困難だけが原因ではありません。関係者に「正確に測らないほうが都合がいい」インセンティブがあります。
小売企業が運営するプラットフォームにとって、ROASが高く出ることは営業上の武器になります。純増効果を正確に測った結果「この広告費の6割は不要だった」と判明すれば、自社の広告収入が減ります。自社の収益を削る測定基準を自ら導入する動機は構造的に弱いのです。
メーカー側にも問題があります。以前の記事で書いた「宣伝部と営業部の分断」がここでも影響します(参照:日本でリテールメディアの成功に不可欠な、3つのポイント)。
リテールメディアの出稿判断は営業部門の販促予算から出ることが多い傾向があります。営業部門の評価軸は「棚を取れたか」「売り上げ目標の達成」であり、広告の純増効果を厳密に測る動機が薄いのです。広告効果よりも「あそこは重要取引先だから……」という意思決定をしがちです。
一方宣伝部はマス広告が主戦場で、購買データに基づく検証のノウハウがない。結果として「ROASが高い」というレポートを双方が受け入れ、誰も疑問を持たない構造が生まれます。
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