2015年7月27日以前の記事
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「AI研修を1コマ追加」では変わらない 新入社員を戦力にする教育設計AI・DX時代に“勝てる組織”(3/3 ページ)

新入社員研修に生成AIの講座を組み込む企業が増えている。しかし、その取り組みは現場の戦力化につながっているだろうか。ツールの使い方を教えるだけの教育は、十分とは言えない。企業は何を教え、どう人材を育てるべきか。先行企業の取り組みから、新人教育を再設計するポイントを探る。

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人事・事業部がいま取り組みたいアクション

 これらの事例を踏まえ、日本の人事部門や事業部門が新人教育を見直すための、具体的なアクションを整理しました。

職種別の演習を現場と共同開発する

 新卒向けの共通研修でAIの一般的な使い方を教えるだけでは、現場の業務で直面する個別具体的な壁を越えられません。開発、営業、コンタクトセンター、コーポレートなど職種別に、自分の業務のどの工程で使うかといった演習を現場と共同で用意します。

 ただ、現場の管理職がAIに不慣れな場合、演習内容のすり合わせで「今の業務で手一杯なのに、そんな時間はない」と反発が起きやすいのも実情です。人事部が主導しつつ、各部門の若手エースを巻き込んで実務に沿った課題を設定する形が現実的です。

会社公認の環境を用意する

 世の中で公開されているAIツールを新人に自由に使わせると、機密情報の入力や未検証の情報の活用といったリスクが上がります。統制された環境や社内知識に接続したアシスタントを用意することで、新人はツール選びで迷わず、現場のOJTも進めやすくなります。

メンターの役割を「教える人」から「レビューする人」へ変える

 ノウハウの伝授、社内規定の検索をAIツールでできるようになれば、先輩社員は基礎知識の伝達者としての役割から離れていきます。メンターは、AIの出力結果を新人がどう判断したかを確認します。その上で、例外処理や人間にしかできない判断をフィードバックする役割へと変わります。この点は現場で摩擦が起きやすいポイントです。「自分のやり方で教えたい」とこだわるメンターのマインドセットを変える支援も、人事部に求められます。

現場の暗黙知をデータ化する

 マニュアル化されていないベテランの判断基準や動作を、動画、手順書、社内ナレッジベース、AIエージェントなどに落とし込みます。OJTの属人化を改善し、再現性を高めるためのアプローチです。

ツールを使ったかではなく「品質を守れたか」で評価する

 若年層が出力を十分に検証せずに使う傾向には注意を払う必要があります。新人の評価観点は、利用回数や使用ツールの種類ではなく、出力を検証したか、根拠を確認したか、イレギュラーな事態に適切に先輩へ相談できたかという行動の実績に置くようにします。

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現在の新人教育に求められる4つのアクション

「AIを使える人材」では足りない 新人に求められる条件

 今後、育てるべき人材は、ツールの知識が豊富な新人ではなく、ツールを使いながらも思考や判断を止めず、自ら品質を担保し、先輩や顧客から信頼される人材です。

 そのために人事が見直すのは研修メニューの追加にとどまりません。オンボーディングのプロセス、現場のOJTのやり方、メンターの役割定義、そして社内基盤の整備までを含めた、総合的な新人戦力化の全体設計を描き直す局面に入っています。

 来年の春、新入社員をどう迎えるか。現場の混乱を防ぎ、彼らをスムーズに戦力にするための体制づくりは、今の教育設計にかかっています。

著者紹介:小出翔

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GrowNexus代表取締役

デロイトトーマツコンサルティングにて14年間のコンサルティング経験を経て、GrowNexusを設立。

多様な業界の大手企業・官公庁・自治体に対し、人事・組織改革、新規事業創出、業務効率化の戦略策定から実行・伴走支援まで幅広く手掛ける。近年はDX推進に加え、デジタル人材戦略から採用・配置・育成・評価・処遇に至る一貫した支援を実施。経産省・IPAのデジタルスキル標準策定も支援しており、デジタル時代の人材・リスキリングに特に強みを持つ。GrowNexusの代表として、伴走・成長支援型のサービスと、テクノロジーを融合した新しいサービスを提供。

著書に『未来のキャリアを創る リスキリング』『地銀”生き残り”のビジネスモデル 5つの類型とそれらを支えるDX』『働き方改革 7つのデザイン』など多数。近著に『誰もが成長し活躍する会社のしくみ「スキルベース組織」という新しい人材マネジメントの実践法』。

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