なぜホンダは伸び悩むのか 11年連続首位「N-BOX」が抱えるジレンマ:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
2025年度もホンダの軽自動車、N-BOXが最も売れたクルマとなった。しかし、これがホンダの業績の足を引っ張っているのではないか。軽自動車市場での優位性を生かしつつ、得意としてきたユニークなクルマづくりで価値を創り出していってほしい。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
日本の自動車市場で最も売れたクルマは、2025年度もホンダのN-BOXだった。軽四輪車では、なんと11年連続の首位。しかし、これを快挙と伝えるのは微妙である。というのも、これがホンダの業績の足を引っ張っている原因の一つなのでは、と思えるからだ。
それどころか、現在の日本の社会構造を反映している、とさえ思えるのだ。その理由を解説したい。
ホンダのNシリーズは、それまでスズキやダイハツらに劣勢を強いられていたホンダが軽自動車を本気で開発し、起死回生を図った意欲作であった。
まさにホンダの技術力とアイデアの塊といえるものだが、初代Nシリーズは利益率が低かった。さらに、競合メーカーからシェアを奪うというより、既存のホンダユーザーが普通車からNシリーズへ乗り換えるダウンサイジング現象が起き、四輪部門の収益を低下させるという皮肉な結果を招いた。
2代目以降は収益性も改善したといわれているが、その人気ぶりに対して、四輪部門の収益性はそれほど改善されていないように見える。そのため、傾向は大きく変わっていないようだ。
つまりホンダは、Nシリーズを安く売りすぎてしまったために収益性を低下させ続けている。このことがホンダの企業価値を低下させているのだ。
一方で、EV開発は米国の自動車政策の転換によって見直しを余儀なくされ、2兆円を超える損失を見込んでいるという。
なぜホンダは苦境に立たされているのか。これまでの足跡をたどりながら、ホンダの、そして日本の自動車産業のミライについて考えてみたい。
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