パン屋の人手不足が深刻化する“意外な理由” 「大阪王将」運営元が展開するベーカリーはどう解決した?(1/2 ページ)
中華チェーン「大阪王将」などを展開するイートアンドグループ(大阪市)がベーカリーカフェ「R Baker」を手掛けている。ベーカリー業界の人手不足を解決するため、同社は独自の施策に取り組んでいる。
中華チェーン「大阪王将」などを展開するイートアンドグループ(大阪市)が手掛けるベーカリーカフェ「R Baker」(アールベイカー)をご存じだろうか。2014年9月に1号店をオープンし、2026年3月末時点で46店舗を展開。パンのメイン材料に国産米粉を使用している点が特徴だ。
ベーカリー業界では、早朝からの生地の仕込みがある他、発酵の管理や成型、焼き上げまで時間を要する業務が多く、長時間労働や職人不足が課題となっている。
スポットワークの普及などを背景に、これまでベーカリー業界を支えてきたフリーター層が流出している──こう話すのは、R Bakerを運営するアールベイカー(東京都品川区)の廣谷光彦代表取締役社長だ。同社は深刻な人材不足を、どのように解消しているのか。
ベーカリー業界の人手不足が加速 R Baker独自の対策
前述の通り、ベーカリー業界では長時間労働や職人不足が課題となっている。廣谷社長は「R Bakerでは従業員数自体は充足している」とした上で、業界全体で長時間働ける人材が減っていることを課題に挙げる。
パン作りは工程が多く、長時間労働が前提となってきた。これまでパン作りの現場を支えてきたのは、1日中フルで働けるフリーター層だった。「近年、スポットワーク(単発バイト)が一般的になったことで、多くの人材が柔軟な働き方へと流出。その結果、全工程を一人で通して担当できる人材が激減した」(廣谷社長)
現在、同社の店舗では学生や主婦のアルバイトを主に採用しているが、それぞれ「日中のみ」「夜のみ」など、働ける時間に制限がある。短時間勤務の人材に対し、パズルのように断片的な工程を当てはめざるを得ない状況だった。加えて、担当者が細かく入れ替わることで、パンの品質を一定に保つことが難しくなっていた。
こうした課題を解決するため、同社が導入したのが冷凍パン生地だ。通常の冷凍パン生地は、解凍後の発酵管理に職人の技が求められていた。そこで同社は、発酵管理が不要な冷凍パン生地を約1カ月かけて開発し、2026年2月から導入した。
冷凍パン生地は、セントラルキッチンで一括で製造する。各店舗に配送後は、必要な時に必要な分だけ解凍し、成型してから焼き上げる仕組みだ。
冷凍パン生地を導入することによる主な効果は3つ。1つ目は省人化だ。早朝からの仕込みが不要となり、作業軽減につながる。
2つ目が品質の一定化だ。同社の冷凍パン生地は、難しいとされる発酵管理が不要なことから、初心者でも一定品質のパンが焼けるようになる。
3つ目がフードロスの削減だ。急な天候変化などで客足が減っても、必要な分だけ解凍・成型・焼き上げができることによりフードロスが減少する。「曜日による集客状況や混雑時など、店舗稼働に応じた効率的な商品製造につながる」(廣谷社長)
廣谷社長によると、必要な分だけ解凍・成型・焼き上げができることは客単価アップの効果も期待できるという。「客足を見ながら、素早く『焼きたてを提供する』という演出が可能となる。コンビニなどと比較した場合、ベーカリーの強みはやはり焼きたてのパンがあること。冷凍パン生地を導入すれば『焼きたて』の提供タイミングを意図的にコントロールできる」(廣谷社長)
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