なぜ「生ノースマン」は800万個も売れたのか 看板商品をもう一度つくり直した理由:火曜日に「へえ」な話(2/4 ページ)
北海道土産として知られるノースマンが、なぜ生まれ変わり800万個のヒットとなったのか。鍵は新商品ではなく“つくり直す”という発想の転換にあった。老舗菓子メーカーの再生戦略を追う。
新しい購買行動が生まれた
生ノースマンとは、従来のノースマンに生クリームを加えるというシンプルな発想で生まれた。特に難しかったのは、パイ生地の改良だ。クリームの水分で食感が損なわれるため、小麦粉の配合や素材を見直す必要があった。
しかも、その過程で社内の反発もあった。「50年続いてきたレシピをなぜ変えるのか」。こうした声が高まる中、中西さんは「ノースマンと生ノースマンは別物」と位置付け、北海道産素材にこだわる意義を説明し、社内の理解を少しずつ得ていった。
開発にかけた期間は、約8カ月。結果は、どうだったのか。
大丸札幌店で発売すると初日から行列ができ、初年度の販売数は120万個に達した。その後も勢いは続き、2026年4月時点で累計800万個を突破している。一方、従来のノースマンはどのような動きを見せたのか。生ノースマンの人気に引っ張られて、個数ベースで前年同期比27%増となった。
こうした新商品のヒットと既存商品の底上げは、数字にもはっきり表れている。売り上げは8億円から、今期(2026年6月期)は25億円を見込んでいる。また、2029年度には50億円(現在の約2倍)の売上目標を掲げている。
興味深いのは、このヒットが単なる「新商品効果」にとどまらなかった点だ。生ノースマンは賞味期限が短く、自宅用として買われやすい。一方、従来のノースマンは日持ちがするため、贈答用に選ばれる。結果として、「2種類を一緒に買う」という新しい購買行動が生まれた。
つまり、商品を増やしたというより、「買い方」を増やしたのである。
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