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病院内のカフェ、なぜ「タリーズ」が多い? 100店舗展開を支える運営戦略(4/4 ページ)

タリーズは4月、100店舗目となる病院内店舗をオープンした。他のカフェチェーンの病院内出店は30〜50店規模にとどまるが、なぜタリーズが抜きんでているのか。タリーズが病院内に出店する理由を取材した。

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「(採算が)トントンでもやる」 事業として成立するのか

 病院内出店は、理念を体現する上で意義の大きい取り組みだ。一方で、事業としてどの程度成立しているのか。収益性について、定常氏は「病院によってまちまちですが」とした上で、「(採算が)トントンでもやります」と話す。

 その背景には、地域に根ざしたコミュニティーカフェを目指す同社の考え方に加え、病院内店舗ならではの安定した需要がある。医療従事者や入院患者など日常的な利用客が多く、路面店に比べてリピーター率が高いのだ。

 また、院外へ出にくい利用者が食事目的で利用するケースも多い。このため、売り上げ構成比に占めるフードの割合は、一般店舗より約10ポイント高いという。特に、季節に合わせた期間限定メニューが好調で、その他にも病院内店限定のフードメニューを展開するなど、病院特有の需要に合わせた商品設計を進めている。


病院内店限定のフードメニュー「芳醇デミグラスのとろとろ卵オムライス」

 一方で、意識すべき点もある。常連客中心であることは接客などへの評価が口コミで広まりやすいことを意味する。良い評判も悪い評判も広がりやすいため、病院内店舗では一般店舗以上に接客品質を重視している。人員も通常店舗より多く配置し、利用者が心地よく過ごせるように目を配る。

 以前、病院内店舗に勤務していた、須崎美紗氏(秘書本部 秘書広報グループ、崎はたつさき)は「病院内店舗を利用するお客さまは、むしろ通常のタリーズを求めて来てくださっている方が多いです」と当時を振り返る。

 「重症患者さまが多い病院でも、店内は決して暗い雰囲気ではありません。日常のようにカフェの時間を楽しみたいという方が多く、特別な空間づくりを求められているわけではないのだと、働いてみて実感しました」(須崎氏)

 定常氏は「利益だけを追うのなら、もっと効率の良い立地はあるかもしれません。ですが、病院という場所で果たせる役割と、事業としての可能性の両方があるからこそ、続ける意味があると考えています」と話す。


4月27日には、病院内店舗101店舗目となる「タリーズコーヒー JR東京総合病院店」をオープンした

 病院内店舗100店という数字の裏には、理念だけではなく、現場と本部が一緒に磨き上げてきた運営ノウハウと、事業を成立させる仕組みがあった。タリーズは、病院という特殊な環境に合わせて特別な店を作ったのではない。その場所で求められる「いつものタリーズ」を追求し続けた結果が、100店舗という数字につながっている。

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