「ジョブ型人事」はもう古いのか Google、富士通、テルモらが実践する「スキルベース組織」の衝撃:AI・DX時代に“勝てる組織”(3/3 ページ)
変化が激しい時代の中で、日本企業の人材マネジメントが揺れている。今、世界で注目を集める「スキルベース組織」という新たな考え方と、先進企業の実践から次世代の人材マネジメントの姿を探る。
企業と社員の成長を両立させる「スキル」という軸
「経理部長」という職務は、会社や市場環境によって役割が頻繁に変化します。しかし、その職務を構成する「財務諸表を分析するスキル」や「チームをマネジメントするスキル」「内部統制を構築するスキル」といった要素は、他の職務でも通用する、普遍的で持ち運び可能な能力です。
職務の内容が変化しても、それを構成する根源的なスキルは変わりません。この「スキル」という新たな軸を取り入れることで、私たちはメンバーシップ型とジョブ型、両制度が抱える課題を補完し、それぞれの「良いところ」を生かすことができます。
社員一人一人が持つスキルを可視化し、現在必要なスキルと将来必要になるスキルとのギャップを明確にする。そして、そのギャップを埋めるための育成機会を提供し、習得したスキルに基づいて適材適所に配置し、公正に評価する――。こうした仕組みにより、社員は自律的にキャリアを築き、成長を実感できるようになります。
若手もベテランも関係なく、持つスキルに応じて活躍の場が与えられ、評価されることでエンゲージメントが高まり、優秀な人材の定着にもつながります。企業にとっても、社内にどのようなスキルがどれだけあるのかを正確に把握できるため、変化に応じた柔軟な組織再編や戦略的な人材配置が可能になります。
「スキルベース組織」は従来型の人事制度の課題を乗り越え、社員も会社も成長する具体的な仕組みなのです。
著者紹介:小出翔
GrowNexus代表取締役
デロイトトーマツコンサルティングにて14年間のコンサルティング経験を経て、GrowNexusを設立。
多様な業界の大手企業・官公庁・自治体に対し、人事・組織改革、新規事業創出、業務効率化の戦略策定から実行・伴走支援まで幅広く手掛ける。近年はDX推進に加え、デジタル人材戦略から採用・配置・育成・評価・処遇に至る一貫した支援を実施。経産省・IPAのデジタルスキル標準策定も支援しており、デジタル時代の人材・リスキリングに特に強みを持つ。GrowNexusの代表として、伴走・成長支援型のサービスと、テクノロジーを融合した新しいサービスを提供。
著書に『未来のキャリアを創る リスキリング』『地銀”生き残り”のビジネスモデル 5つの類型とそれらを支えるDX』『働き方改革 7つのデザイン』など多数。近著に『誰もが成長し活躍する会社のしくみ「スキルベース組織」という新しい人材マネジメントの実践法』。
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