データ分析の「分からない」「準備が面倒」を解消 ソニーの「初心者」特化ツール、記者が使ってみた【レポート】
自業務の成果を高めるために、データを分析したいけれど、何から始めればいいのか分からない──と悩むビジネスパーソンは少なくない。ソニーネットワークコミュニケーションズは、こうした初心者向けのニーズに着目した。データ分析業務の初心者である筆者が体験してみたところ……。
自業務の成果を高めるために、データを分析したいけれど、何から始めればいいのか分からない──と悩むビジネスパーソンは少なくない。悩みの多くは「何を分析・予測するのかというテーマ設定ができない」「手元にあるデータの準備や加工に時間がかかる」「予測結果をどう実務に活用すればいいか分からない」といった、データ分析業務の前工程や後工程に集中している。特に、初心者であるほど、データ分析業務へのハードルは高い。
予測分析ツールに頼りたいところだが、データサイエンティストやIT部門向けの高機能なツールは多数存在する一方「誰でも使える初心者向け」のツールは少ない。ソニーネットワークコミュニケーションズは、こうした初心者向けのニーズに着目した。
同社は5月26日、専門知識を持たない初心者向けの予測分析ツール「Prediction One」(プレディクション ワン)に、対話型AIエージェントが実務をナビゲートする機能を追加したと発表した。2019年から提供している現行のPrediction Oneは予測分析のみに特化していたが、新バージョンではAIエージェントが伴走しながら、データの整理から予測結果の解釈までサポートする。
まるで「隣にいるデータサイエンティストに相談するように」チャット形式でAIと対話しながら、分析業務ができるという。データ分析業務の初心者である筆者が体験してみた。
データ分析の「分からないところが、分からない」を解消 記者が使ってみた
今回のトライアルでは、プレミアムサービスの購入者データを分析し、今後どのユーザーがプレミアムサービスを購入する可能性があるかを予測した。
まず、担当している業務内容や分析の目的をまとめたメモとともに、顧客情報やWebサイトの閲覧履歴など、複数のデータファイルをまとめてアップロードした。その際、データの体裁を整えるといった準備は必要ない。
アップロードしたメモやデータの中身をAIが読み取り、課題を整理するためのシートに自動で記入を始める。課題の整理が完了すると、チャットで
- そもそも予測できるテーマか
- 実務で使える分析モデルにするための確認事項
- データが不足している場合は、追加アップロードが必要なデータの内容
といった提案がAIから送られてくる。
トライアルのため今回は問題なかったが、実際の実務ではAIとチャットでやり取りして準備する必要がある。
なお、業務内容や目的をまとめたメモがなくても、ツール内の記入欄に沿って記入すれば情報を整理できる。そもそも必要なデータが何か分からない場合は、チャットでどういったデータが必要かAIに質問できる。
データのアップロードと課題の整理が完了すると、AIが予測モデルを作成するためのデータ準備を開始する。従来データサイエンティストが手作業で対応してきた、複数ファイルの結合やデータの集約といった手間のかかる事前処理は、AIがユーザーの指示を受けながら代替・実行する。そのため、ユーザーはチャットに答えながら、指示するだけでいい。
数分後、AIから予測モデルの見本が提示される。修正箇所がなければ、そのままAIが予測モデルの学習を開始する。AIが提案してきた予測モデルに納得できない場合は、チャットで「こうしてほしい」などと対話しながらブラッシュアップしていく。
AIが分析モデルの学習を完了し次第、ユーザーは実際の予測に使うデータをアップロードする。今回は、プレミアムサービスを購入するかどうか予測したいユーザーの一覧データをアップロードした。AIは先程学習した予測モデルを用いて、各ユーザーのプレミアムサービスの購入可能性を導き出した。
加えて「購入確率の高い上位層に絞ってDMを送る」といった具体的な次のアクションのヒントも、根拠とともに提案される。これで一通りの分析作業は完了した。データ量にもよるが、筆者のような初心者でも10分ほどで予測結果を出力できた。
なお「分からないことが、分からない」という初心者中の初心者が使う場合、画面にネクストアクションの項目をオレンジのボタンで目立たせて表示している。そのため直感的に操作でき、ユーザーが指示をしなくても一定の分析業務ができるよう設計されている。
対話型AIエージェントでは、ユーザーとの対話には現時点ではGPT-5.2を利用する一方、予測モデルの作成には、ソニーグループ独自の予測専用AIを使用している。こうしたハイブリッド型の設計により、生成AIによる柔軟な対話と、予測特化型AIによる高い予測精度の両立を実現している。
新バージョンは今後、β版を通じて顧客からのフィードバックや利用実態を集め、機能アップデートを図っていく方針だ。実務での活用を想定した本番環境版については2026年度中のリリースを予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
楽天経済圏が“鎖国”を開放か グループ外で初、ファミマ利用でポイント還元を強化 狙いは?
楽天グループ、楽天ペイメント、ファミリーマートの3社は5月22日、全国のファミリーマートを、ECモール「楽天市場」のポイントアッププログラム「SPU」(スーパーポイントアッププログラム)の対象にすると発表した。経営層が語る狙いとは?
雑談、挨拶、雪かきまで クレディセゾン「43人のおせっかい集団」が変えた、AI時代の「孤独」
「全社員のAIワーカー化」を掲げ、AI活用を前提とした業務効率化を推進するクレディセゾン。先進的なイメージの強い同社が今、社員同士がそれぞれのちょっとした困りごとを解決するために“おせっかい”をする、通称「おせっ会」活動に注力している。




