2015年7月27日以前の記事
検索
連載

日本人の「京都離れ」はなぜ起こったか オーバーツーリズムでもホテル高騰でもない、根本原因(3/3 ページ)

昨今、日本人の「京都離れ」が顕著だ。一体何が背景にあるのか。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

バス「二重価格」も検討中だが……

 公共交通機関の混雑も深刻だ。事前に帰りの切符を購入していない客が多いため、京都駅の新幹線用きっぷ売場は常に長蛇の列ができる。慣れない機械の操作に時間がかかる客も目立つ。

 観光地を巡る場合は市バスを利用するのが一般的だ。しかし清水寺、祇園など名所を巡る系統は常に混雑している。京都駅のバスで清水寺に向かう場合、行列ができているため1本目のバスに乗ることは基本的にできない。また、名所付近のバス停も混雑していることが多く、客が乗車を断られる場面もよく見かける。

 過去に『京都市バス、観光客だけ「2倍運賃」検討 オーバーツーリズムだけではない切実な背景』でも解説した通り、観光名所を巡る場合、市バス以外の代替手段は少ない。市は2027年度に非市民向けの大人運賃を現状の230円から350〜400円に引き上げ、市民向けを200円とする計画だが、主目的は財政の健全化であり、客数減少の影響は小さいとみられる。

 公共交通機関の混雑解消には、バスの増便や新たな地下鉄の建設など根本的に輸送力を高める施策が必要だが、京都市交通局の財政状況から判断すると実現可能性は極めて低い。バスの混雑は今後も解消されないだろう。

諸悪の根源は「円安」

 客室単価の上昇に加え、インバウンドの増加に伴う観光地や公共交通機関の混雑、街並みの変化が遠方から来る日本人客の京都離れをもたらしている。また、昨今の国政選挙の結果が示したように、世論では外国人に対して好意的ではない雰囲気がまん延しており、こうした世論が外国人だらけの京都を否定的に捉えることにつながっている。

 オーバーツーリズムも客室平均単価の上昇も、突き詰めれば過剰な円安が要因だ。1ドル100〜110円を推移していたドル円は現在、150円台を推移しており、単純計算で日本人の購買力は約1.5倍低下した。日本の物価水準は途上国より高く、先進国よりは低い水準だ。この間にアジア諸国は経済成長を遂げ、気軽に日本に旅行できる人が増えた。

 一方で円安を背景に海外に向かう日本人客の数は回復せず、コロナ禍以前の7割水準に留まる。このままでは京都への旅行者数も以前の水準を下回るかもしれない。過剰な円安は日本人の海外旅行ばかりか、国内旅行にも影響を与えている。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る