コラム
観光客が殺到 好調な「江ノ電」が直面する“設備投資できない”ジレンマ(1/3 ページ)
観光需要の高まりを背景に、江ノ電の経営は好調だ。一方で、ピーク時の混雑率は146%に達し、車内混雑は深刻化している。本来なら増発や設備投資で対応したいところだが、江ノ電は「したくてもできない」というジレンマに直面している。なぜなのか。
江ノ島電鉄は、「江ノ電」の愛称で親しまれる鉄道会社だ。1902年に開業し、神奈川県の藤沢〜江ノ島〜鎌倉間を結ぶ全長10キロの路線を運行している。小田急電鉄の100%子会社で、フリーきっぷの販売や宣伝面でも連携し、東京方面から多くの観光客を呼び込んできた。
江ノ電は、小型車両が民家の軒先をかすめるように走る風景や、一部区間で道路上を走行する珍しさなどで、観光客に人気を集めている。特に、鎌倉高校前駅近くの踏切は、アニメ『SLAM DUNK』のオープニングに登場したことで“聖地”となり、アジア圏を中心としたインバウンド客が多く訪れている。
こうした人気を背景に、近年は混雑が深刻化している。国土交通省によると、2023年度に最も混雑したのは、JRや小田急線と接続する藤沢と、隣駅の石上との間で、時間帯は7時28分〜8時27分。輸送人員は1480人、混雑率は99%と、典型的な「朝の通勤・通学ラッシュ」の状況だった。
しかし、2024年度は状況が一変した。最も混雑する区間は、終点の鎌倉から和田塚との間へ移り、時間帯も13時55分〜14時54分の昼間に変化。輸送人員は2197人、混雑率は146%に達した。昼下がりがピークとなるケースは、他の鉄道会社ではほぼみられない。観光客の集中が江ノ電の混雑構造を大きく変えたのだ。
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