カルテル疑惑で揺れる人材派遣業界 法施行40年で見えた「誤解だらけの実像」と残された宿題:働き方の見取り図(2/3 ページ)
人材派遣大手5社による労働者派遣を巡るカルテル疑惑が注目を集めている。事実であれば看過できない問題だが、一方で、派遣業界や派遣社員に対するイメージが過去のまま止まっている面もあるのではないだろうか。労働者派遣法施行から40年を迎える今、労働者派遣の現在地とこれからを考える。
派遣社員はなぜ3%未満なのか 会社と働き手が求める価値
派遣社員の比率が低い水準にとどまる理由は、ニーズの特殊性にあります。会社側の主なニーズは、短期間で人材を確保できるスピード感と、必要な期間だけ必要な技能を持つ人材を確保できる便利さです。
近年は似た機能としてスポットワークが台頭していますが、基本的に未経験者でも対応できる業務が中心で、かつ1日単位など短期間の利用がメインです。その点、労働者派遣であれば、経験豊富な即戦力人材が素早く駆け付けて、ある程度の長期間であっても対応してくれます。
一方、働き手側の主なニーズとしては、間接雇用による職場との距離感確保と、派遣事業者によるフォローアップが挙げられます。
パートやアルバイトなど他の非正規社員として働いても、希望する期間だけ、希望する職務で、希望する場所で働くことはある程度可能です。しかし「就業先と別の会社で雇用される」という間接雇用の立ち位置は、派遣社員ならではの特徴です。
日本の職場は、会社の一員として働くメンバーシップを基本としており、家族的文化を重視する傾向があります。そこにはメリットもありますが、付き合い残業や飲み会参加の圧力、掃除や朝礼当番などに強い窮屈さを感じる人もいます。
その点、間接雇用である派遣社員だと一定の距離感が保たれます。また、いざとなれば派遣事業者が職場との間に入り、直接は話しにくいような交渉にも対応してくれます。
労働者派遣ならではの特徴をメリットと感じる会社や働き手は、多数派ではないと考えられます。
多くの会社は社員に辞められては困るので、自社で直接雇用して囲い込みたいと考えますし、働き手は間接雇用より会社の一員として直接雇用で長期安定的に働きたいと考える人が多いです。ニッチなニーズに応えるサービスであることが、派遣社員比率が3%未満にとどまる一因と考えられます。
現在、人手不足は慢性化しています。また、何度も法改正される中で派遣社員への雇用安定措置が強化された影響もあり、無期雇用の派遣社員が増えました。
厚生労働省が発表した「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況」によると、2025年6月時点で無期雇用派遣の比率は、派遣労働者数全体の43.5%と半数に迫る勢いです。3%未満のニッチなニーズを満たす中で、時代の変化に合わせて派遣サービスの在り方も変わってきています。
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