AIで4.5時間、素人でもマネフォ風アプリ完成 それでも痛感した“SaaSの壁”(2/3 ページ)
プログラミング知識ゼロの非エンジニアが、話題のAIツールを用いた「バイブコーディング」で支出管理アプリの開発に挑戦。わずか4.5時間でプロトタイプが完成した一方で、個人開発の限界と、既存SaaSの「見えない価値」が浮き彫りになった。
非エンジニアの前に立ちはだかる「3つの壁」
しかし、開発を進める中で、AIへの指示だけでは解決しきれない限界や課題にも直面した。大きく3つの壁が存在する。
1つ目は「エラー修正とつじつま合わせの壁」である。コードの文法エラーはAIが自動で修正してくれるが、データベース連携時の「カテゴリーの二重表示」といったUI(見た目)の異常は、人間が実際に画面を見て確認しなければ気付けない。さらに、1つのエラーを直すと別のエラーが発生したり、データベースの移行に伴って他のコードとのつじつまを合わせる必要が出たりと、この段階に最も時間を費やすことになった。
2つ目は「セキュリティー判断の壁」だ。家計データという機密情報を扱う以上、安全性は欠かせない。AIにセキュリティーのチェックリストを作らせて確認させたところ「APIキーがブラウザから丸見えになっている」といった重大な指摘を受けた。AIに問題点を洗い出させることはできても、「その対策で本当に十分か」を最終的に判断する力は人間側に求められ、非エンジニアにはハードルが高いと感じた。
3つ目は、技術力とは無関係の「法律と制度の壁」である。銀行やクレジットカードの利用明細を自動連携したいと考え、既存の家計簿アプリのAPIなどを調査した。しかし、日本では金融機関のデータを扱うために「電子決済等代行業者」の登録や金融庁への届け出、厳しいセキュリティー審査が求められる。マネーフォワードなどの企業はこれらをクリアしているからこそ自動連携が可能だが、個人開発では乗り越えられない壁であり、結果的にCSVファイルを手動でダウンロードしてアップロードする運用に落ち着いた。
「作れる」時代だからこそ再認識した、SaaSの強固な競争優位性
今回のバイブコーディングを通じた開発体験は、課題を抱える当事者が、本当に欲しい機能のプロトタイプを即座に形にできるという点で画期的だった。
しかし、アプリを単に「作る」ことと、それを安定して「運用する」ことの間には、別次元の難しさが存在する。機能を追加するたびに既存コードとの整合性を保つ作業や、金融機関との連携、大量のデータの安全な蓄積など、継続的かつ正確なデータ更新を伴うシステムの安定稼働は、非エンジニアの個人開発の範疇を大きく超えている。
この検証を通じて見えてきたのは、既存のSaaSが提供する本当の価値だ。それは、目に見える使いやすいUIや機能の豊富さだけではない。「目に見えない強固なデータ基盤」や、「厳しい法規制とセキュリティー基準をクリアし、安心して使い続けられる信頼性」にこそ、企業が提供するサービスの真の競争優位性があるのだ。
AIによって「誰でも自らの課題を解決するソフトウェアを作れる時代」が到来しつつある。だからこそ、既存SaaSが長い時間をかけて築き上げてきた「見えない信頼性」の価値と重みが、より一層実感できる結果となった。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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