「AIを使うほど人はバカになる」は本当か? 研究が示す思考力低下のリスクと3つの対策(1/3 ページ)
生成AIネイティブ世代の新入社員が続々と入社してくる中で、現場からは「最近の新人は使えない」といった声も上がっている。なぜなのか? 研究結果からその原因と対策を考えていく。
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「生成AIネイティブ世代」の新入社員が続々と入社してくる中で、現場からは「最近の新人は使えない」「まともな資料が出てこない」といった声が聞かれることもある。ただ、本当にAIを使うほど人はバカになるのだろうか?
最近の研究で、AIを使い続けていると脳の活動が低下したり、実力以上に分かった気になったりするという実態が報告されている。調査結果を紹介しながら、思考力を育てるための具体的な方法をまとめていく。
本記事は、アイティメディアが運営する動画メディア「TechLIVE」で公開した動画『【危険】AI利用で脳が退化!?今すぐ実践すべき3つの習慣』を基に作成しています。記事の内容は2026年5月13日公開当時のものです。
AIを使用し続けると、脳にどんな影響がある?
2025年6月、MITメディアラボの研究チームが「Your Brain on ChatGPT」という調査を発表した。これは、AIが作成した回答をそのままコピペしているとき、人間の脳がどうなっているかを、実際に脳波を測って調べたものである。
実験では18歳から39歳までの被験者54人を「AIを使用せず自力で書く」「検索エンジンを利用する」「ChatGPTを利用する」の3つのグループに分け、4カ月にわたってエッセイを執筆してもらった。その際、執筆中の脳波を計測したり、エッセイを評価したり、参加者へのインタビューを実施したりした。
その結果、ChatGPTを使用したグループは言葉の意味を深く考えたり、自分の間違いに気付いて見直したりする脳の領域の活動が低下していることが分かった。さらに、情報を処理するために脳の異なる部分同士が連携し合う「脳の接続性(ネットワークのつながり)」の総量が、自力で書いたグループと比べて最大55%も低下。脳内の連携が半分近くにまで落ち込んでいたことも明らかになった。
本実験においてさらに注目すべきは、AIを使い続けたことが、その後の思考にも影響を与えるという点だ。最初のエッセイ執筆から4カ月後に、AIを利用していたグループにツールなしでエッセイの再執筆を求めたところ、脳の活動レベルは停滞したままであり、回復の兆候は見られなかった。
研究チームはこの現象を「認知的負債」と呼んでいる。AIによって短期的には作業が効率化するものの、長期的には記憶の形成や思考力に影響する可能性を示唆している。
一方で、最初から自力で執筆を続けていたグループが後からAIを利用した場合、脳活動は低下せず、むしろ前回よりも活発になることが確認された。この実験は被験者が少なく、論文自体も査読前ではあるが、最初に自分で思考することの重要性を示すデータといえる。
また、AIによって「批判的思考」が弱まるリスクを示す調査結果も報告されている。2025年1月、Microsoftの学術研究機関である「Microsoftリサーチ」が知的労働者319人を対象にアンケート調査を実施した。
Microsoftリサーチが実施した、アンケート調査の結果報告(画像:Microsoft Research「The Impact of Generative AI on Critical Thinking」より)
アンケートでは普段の仕事でAIを使う場面を答えてもらい、それぞれの場面でどれくらい批判的に考えているか、また普段どれくらい物事を深く振り返るタイプかなどを尋ねた。その結果、AIを盲信している人ほど、出力された情報の真偽を疑ったりチェックしたりする労力を、自然と放棄している傾向が浮き彫りになった。
さらに別の研究では、AIを使うと「実力以上に分かった気になる」という思い込みが加速することも明らかになっている。
2025年10月、心理学系学術誌『Computers in Human Behavior』で発表された調査では、246人を対象にAIを用いて論理的な推論問題を解くテストを行った。その結果、AIを使用したグループはテストの成績こそ向上したものの、同時に自らの正答率を実際よりも大幅に高く見積もる「過大評価」が発生していた。
心理学系学術誌『Computers in Human Behavior』で発表された調査結果(画像:Computers in Human Behavior「AI makes you smarter but none the wiser」より)
この傾向は「自分はAIリテラシーが高い、使いこなせている」と認識している人ほど顕著にみられた。本質的な理解をしていないにもかかわらず、AIの優秀さを自分の実力だと勘違いし、分かった気になりやすいという認知の歪みが生じていることを示している。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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