ANA新運賃はなぜ“炎上”したのか フルサービス航空会社が見誤った顧客心理(4/4 ページ)
ANAの国内線の新運賃に対して、SNSで批判の声が相次いでいる。そのからは、ANAが見誤った”顧客心理”が見えてくる。
ANAの対応、どうすればよかったのか
では、ANAはどのような対応を行っていれば、ここまで問題視されずに済んだのか。今回もっとも失敗したのは「利用者のショック度」を見誤り、十分な周知を行っていなかったことだと考える。つまりは“広報不足”が原因であろう。
国内線の運賃変更が発表されたのは、2025年5月20日のことだった。ちょうど1年間の準備期間が設けられていたわけだが、さほどアピールされていた印象がない。予約しようと思って初めて、新運賃に気付いた人も少なくなかったはずだ。
大幅なサービス変更で思い出すのが、2023年の年末から導入された、ピーク時(年末年始・ゴールデンウィーク・お盆)の東海道・山陽新幹線「のぞみ」全車指定席化だ。発表直後からSNSで大きな議論となり、利用者の間でも変更内容が広く共有された。
もちろん、先ほど触れたように「飛行機より鉄道ネタの方がSNSで拡散されやすい」といった事情はあるだろう。しかし、ANAの運賃改定とのぞみの全車指定席化との最大の違いは、サービス変更による影響を利用者が事前にイメージしやすかったかどうかだ。
のぞみの場合、「自由席がなくなる」という変化が分かりやすかったため、発表直後から大きな話題となった。一方、ANAの新運賃制度は仕組みが複雑で、自分にどのような影響があるのかを想像しにくい。その結果、制度変更そのものは十分に話題にならず、実際に予約する段階になって初めて不利益を実感した利用者から声が上がった。
「軽微な変更」と見誤ったか
今回の新サービス化について、ANA自身は「詳細に伝えるまでもない、軽微な変更」と捉えていたのかもしれないが、旅客はそう受け止めなかった。その認識の差が問題の本質にあり、結果として“殿様商売感”を演出してしまった。
JALやANAといったフラッグキャリア(その国を代表する航空会社)は、移動手段そのものだけでなく、「快適な空の旅」を提供している。その“快適性”が揺らぐとなれば、利用者が心配になるのも当然だろう。
そして、乗客の快適性はブランドイメージに裏付けされている。となると、サービスの改定や、それに伴う料金の変更よりも、「その変更をいかに伝えたか」のプロセスと、そこから透ける誠実さが、より重要になってくるのだ。
ここから挽回するとすれば、「乗客の不安を解消する」イメージ作りからだ。現状で問い合わせが殺到し、窓口がパンクするほどだというが、おそらく質問のバリエーションは限られているだろう。
公式Webサイトでは「よくあるご質問」へ誘導しているが、もっと大々的に、そして何度も説明を繰り返すこともできるはず。そうした地道な対応が、信頼回復のカギを握るのだ。
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