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「AIを使うと他社と似てしまう」課題をどう乗り越える? 「プロダクトの差別化」の要点(2/2 ページ)

生成AIの普及は製品の没個性化や、個人の生産性向上によるチームの分断という課題を生んでいる。米Figmaはカンファレンスで、AI出力を人間が微調整する「素材」として扱う手法を提示。自社ルールを組織全体で共有する仕組みを実装した。個人の暗黙知を資産化する取り組みは、現場の属人化を防ぐだけでなく、無駄なAIコストを最大30%削減し価値創造を支えるものだ。

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暗黙知をツール化 チームのスキルを底上げする自社エージェント

 表現力の拡張にとどまらず、AI導入の初期段階で多くの企業が直面する「スキルの属人化」という課題に対しても、Figmaは個人の「暗黙知」をチームの共有財産とする具体的な仕組みを実装している。

 具体的には、自社のコンプライアンス要件やデザイン規約といった「独自ルール」をAIに学習させ、業務チャットやプロジェクト管理ツールなどの外部データと連携させている。これによりAIは、自社固有の文脈を理解したサポートが可能だ。

 さらに、ノーコードで自社専用の自動化ツールを作成・共有できる仕組みも整えた。例えば、製品カタログのデータを読み込ませ、コンテンツを社内独自のレイアウトで自動配置する拡張機能を作成。同じファイル内でチーム全員が再利用できるようにしている。これにより、個人が作ったAIツールが、そのまま組織全体の作業手順に組み込まれ、スキルの属人化を防ぐ助けとなる。

 組織内でAIにおけるノウハウの共有化の基盤が整うと、人間(従業員)はAIに定型業務を任せられるようになる。そうなると従業員は職種を問わず、本来注力すべきデザインに時間を割けるようになっていく。実際に同社のAI調査によれば、開発者の65%が「コードの記述が容易になったことで、デザインはこれまで以上に重要になった」と回答している。

AIコストを「最大30%削減」する仕組み

 企業のAI導入は「とりあえず使う」段階を終え、経営層がAIにかかるコストの投資対効果を厳しく精査する段階に突入した。従業員が各自の環境で個別にAIツールを使い、毎回ゼロから「使い捨て」の生成を繰り返せば、AIに計算処理を行わせるためのコストは際限なく膨れ上がるからだ。

 Figmaのプラットフォーム上では、AIエージェントに自社専用のカスタムツールを作らせ、それをチームで共有できる仕組みを提供している。一度生成したツールはコードとして保存されるため、追加のコストなしで再利用できるという。

 実際に、デザインシステムとコードを連携させる機能(Code Connect)を活用し、AIに無駄な生成をさせず既存の資産を再利用する仕組みを整えた企業では、AIにかかるコストを最大30%削減した事例もあるという。

 個人の暗黙知やAIが生成したツールを組織全体のインフラに組み込むことは、現場が分断なくデザインに専念できる環境を作るだけでなく、AI運用の投資対効果を適正化する上でも、持続可能な開発体制を築くことにつながるのだ。

日本企業のAI活用は他国より進む 「サイロの壁を壊す」協働の条件

 一般的に「日本企業は新しいテクノロジーの導入が遅い」と言われがちだ。だがFigma Japanの川延浩彰カントリーマネージャーはこれを否定する。

 「当社のデータを見ると、Figma MakeなどのAI機能の利用状況は、日本のユーザーは他国に比べて進んでいる部分があります。社会全体がAIの必要性を高く認識しているためだと考えられます」

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Figma Japanの川延浩彰カントリーマネージャー

 実際に今回のConfigには、デジタルネイティブ企業だけでなく、日本を代表する大手メーカーや金融機関からも多くの参加者が集まっていた。

 AIの急速な普及により、プロダクトの没個性化や、個人の生産性向上による組織の分断という新たな課題が浮き彫りになっている。AIが生成したものを人間が微調整できる「素材」として扱い、個人の暗黙知を組織全体の資産へと昇華させるアプローチは、日本企業がAI時代において価値を生み出し続けるための武器となりそうだ。

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