「木の枝が届くサブスク」で70万本出荷 花屋にない需要を掘り起こし、約4年で黒字化(1/4 ページ)
「木の枝が届く」サブスクサービスが累計70万本を出荷し、約4年で黒字化を実現した。花器購入者の声を起点に新市場を切り開き、自社栽培や森林組合との連携まで進めた成長戦略を探る。
部屋に飾る植物として一般的にイメージされるのは、観葉植物や切り花だろう。そんな中で、「枝もの」(花店などで販売される観賞用の木の枝)を飾るライフスタイルを提案するサブスクサービス「SiKiTO(シキト)枝もの定期便」が急成長している。
都心部に暮らす40〜50代の女性を中心に支持を集めており、2022年3月のサービス提供開始から累計70万本の枝を出荷。「枝ものを飾る」という新たな市場を切り開いてきた。
料金は配送する枝のサイズごとに異なり、卓上に飾りやすい60センチプランが3300円、100センチプランが4400円、140センチプランが9900円だ。配送頻度は2週間に1回または4週間に1回から選べる。
このサービスはどのようなきっかけで生まれ、成長してきたのか。サービスの運営元であるTRINUS(東京都中央区)の代表 佐藤真矢氏に話を聞いた。
枝もの専用の花器を販売後、「枝ものが手に入らない」という声が寄せられた
同社がサービスを始めたきっかけは、2021年に青山フラワーマーケットから「枝もの専用の花器を作りたい」という相談を受けたことだった。当時、TRINUSはクリエイターのネットワークを生かして企業と商品開発を行う事業を展開していた。
「お花用の花器で枝ものを飾るのが一般的でしたが、 取り扱いにくいという課題がありました。枝ものを支えるには高さのある器が必要ですが、そこに水を入れるとかなり重くなります。女性でも気軽に扱える枝もの専用の花器を作れないか、という依頼でした」
その依頼から誕生したのが「EDA VASE(エダベース)」だ。土台はセメント製だが、その上に載せる花瓶には軽量なプラスチック素材を採用した。水換えの際は花瓶だけを取り外せるため扱いやすい。一方で、土台は約4キロの重さがあり重心が安定しているため、2メートル近くの大きな枝も飾ることができる。
ありそうでなかった、枝もの専用の花器の売れ行きは好調だった。しかし、別の問題が浮かび上がる。購入者から「この花器に飾りたい大きな枝ものが、なかなか花屋では手に入らない」という声が相次いだのだ。
一般的な花屋でも枝ものは扱っているが、多くは持ち帰りやすいサイズに限られる。長さのある枝ものは需要が読みづらく、店頭に在庫を抱えにくいという事情がある。
「私たちが提案したかったのは、自宅に大きな枝ものを飾るという新たなライフスタイルです。しかし、肝心の枝が手に入らなければ、実現できません。枝ものを求める人がいるのに、十分に流通していないなら、自分たちが提供することはできないだろうか。うまくいけば、継続的なビジネスにつながるかもしれないと考えました」
そこで佐藤氏は、まずスモールスタートで試してみることにした。簡単なWebページを制作し、購入や契約はできないが、枝もののサブスクを開始したら連絡を受け取りたい人がメールアドレスを登録できるようにした。少額でWeb広告を出稿し、EDA VASEの購入者にも案内した。
すると、思いのほか登録があったため、登録者向けにテストマーケティングを行った。
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