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SAMURAI BLUEの選手が渋谷に出現!? ロンドンで年商200億円を叩き出す「XRエンタメ」の勝機(2/2 ページ)

2026年のFIFAワールドカップ開幕に合わせ、渋谷・MIYASHITA PARKで、サッカー日本代表の選手たちが、その場所にいるかのように現れるプロジェクトが始動した。「シェアード・リアリティ」とは最先端の空間映像・通信技術を用いて、同じ空間や体験を多くの人々と同時に分かち合う没入型のテクノロジーや空間概念を指す。仕掛け人に、シェアード・リアリティビジネスの展望と、収益モデルを聞いた。

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高利益率を実現する「実写XR」「VIP戦略」

 XRと聞くと、多くの企業が真っ先に懸念するのが制作コストだ。だが和泉社長は「通常の映像制作とそれほど変わりません」と話す。「コストがかかるのはCG制作です。CGを大量に使うから多額の費用がかかってしまう」と指摘する。

 ExREALが手掛けるコンテンツは、約9割が実写ベースだという。CGを多用すれば制作費は膨れ上がる一方、実写を中心に構成すれば、撮影にかかる初期費用は通常の映像制作と大差ないと語る。

 さらに運営面でのROI(投資対効果)にも優位性があるという。XRコンテンツは、一度制作すれば上映型ビジネスとして展開できる。その結果、劇場型エンタメで課題となる人件費の削減が可能になるという。


3D LEDシアター

 SAMURAI BLUEプロジェクトのもう一つの特徴が、VIP戦略だ。和泉社長は「これからのVIP体験はグッズを提供することよりも、体験をもってどう差別化していくか。これが一番重要だと思っています」と話す。その言葉通り、提供するのは「体験そのもの」の価値だ。

 具体的には、優先入場やVIPエリアの利用といった「特別な動線」を提供することで、体験価値を最大化している。航空会社のファーストクラスなどに近い発想だ。今回のSAMURAI BLUE 3D EXPERIENCEでは、ドリンク付きのVIP席は平日で8000円、土日祝では1万円で販売している。

 物販中心ではなく、体験価値を高めることで高単価化を実現するVIP戦略は、ファンのロイヤルティやLTV(顧客生涯価値)の向上という観点からも有効だ。


VIPエリア

組織は「一人社長×AI」 圧倒的な意思決定スピードに強み

 ExREALは創業から短期間で大型案件を受注している。だが、意外なことに社員はいないという。和泉社長はAIを中心に据えた組織運営をしている。「AI時代なので、まずAIを使う。その上で優秀なフリーランスや外部パートナーと組む」という経営スタイルだ。

 企画書作成や情報整理、メール対応など、AIをエージェント化することで業務効率化を図り、一人でも高速な意思決定を可能にしている。和泉社長はAIを「最高の壁打ちパートナー」と表現する。実際、大手企業との大型案件も、AIが作成した企画書が突破口となっているという。

 「もちろん私が最終確認はしていますけどね」(和泉社長)

 また、和泉社長が日本と海外の両方を経験したことで見えてきた、日本企業特有の課題もある。技術そのものではなく、日本企業に根強く残る「失敗を避ける文化」だ。日本のIPホルダー企業は権利保護への意識が強く、新しい挑戦に慎重になりがちだという。一方、米国では失敗を学習コストとして受け入れ、まず試してみる文化が根付いている。

 「失敗したらどうしよう。炎上したらどうしよう。そればかりでは何事も前に進みません。挑戦することは未知の世界に足を踏み入れることなので、失敗から学ぶしかないんですよ」

 この風潮は、XR業界に限らない。DX推進や新規事業開発の現場でも、前例のない挑戦ほど社内承認の壁が高くなり、変革のスピードを鈍らせる要因となっている。だからこそ今求められるのは、新しい技術を導入することではなく、新しい挑戦を許容する組織文化なのかもしれない。


「失敗から学ぶしかない」と話す和泉社長(アイティメディア撮影)

 一方で日本の良さもある。欧米の社会で「アニメを見て癒やされた」「自分の居場所を見つけられた」「日本のゲームはセラピーだ」といった消費者の声を耳にしたという。日本のコンテンツを「自分を癒やしてくれるものであり、現実世界から逃避するための手段になっている」と分析する。

 日本のコンテンツが持つ、こうした価値を世界へ届ける上で、XRは大きな可能性を秘めていると和泉社長は自信を持つ。有形資産から無形資産へと価値の重心が移る中、言語を超えた「体験」を届けられるXRは、日本のIPを世界へ展開する新たな手段になり得る。

 和泉社長が提唱するXRは、単なる映像技術ではない。ファンエンゲージメントの向上、SNSによる拡散、そして高収益なビジネスモデルを同時に実現する新たなマーケティングプラットフォームとしての可能性を秘めている。

 「点」のイベントを「線」の体験へ変え、ファンとの関係性そのものを再設計するXR。その可能性は、日本のIPを世界へ展開する新たな成長戦略となり得るのか。今後の展開に注目したい。


バーチャルとリアルが融合した「クリアキャスト」

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