「国内では戦わない」 沖縄のそろばん教室が海外に商機を見いだしたワケ(1/4 ページ)
電卓やAIが普及する今、なぜ「そろばん」が再評価されているのか。開校から数年で生徒数200人に成長した沖縄の「むらそろばん」は、英国や豪州、ニュージーランドにも進出。世界市場を見据えた独自戦略を追った。
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そろばん(珠算)と暗算の両方で最高段位の十段を取得している村彪雅氏と村勇力氏の兄弟が、2023年4月に沖縄県宜野湾市で開校したそろばん教室「むらそろばん」。
開校初年度の生徒数は約30人だったが、その後口コミなどで評判が広がり、現在の生徒数は200人(6月28日時点)に上る。小学4年生をボリューム層として、着実に成長を続けている。
さらに国内のみならず、英国、ニュージーランド、豪州の3カ国に進出している。沖縄のそろばん教室が、なぜ海を渡り、グローバル展開を進めているのか。世界の教育市場におけるそろばんの可能性と、彼らの独自戦略を取材した。
なぜ今、そろばん? 「英才教育」として再評価
沖縄において、そろばんは戦後の名残もあり「安価な習い事」としてのイメージが根強いという。しかし視点を東京に向けると、その立ち位置は大きく異なる。
「東京の中目黒には『BunBu学院』という、入所まで2年待ちと言われる有名な学童保育があります。そこではプロの講師陣によるさまざまな習い事が用意されているのですが、中でも特に力を入れているのがそろばんなんです」と彪雅氏は語る。
実際、BunBu学院の公式Webサイトでは「そろばん」が大人気コンテンツとして紹介されていた。フラッシュ暗算の考案者が講師として呼ばれており、英才教育の一環として再評価されているようだ。
電卓やAIが瞬時に答えを出す時代に、そろばんが評価される理由は何か。
彪雅氏は「そろばんは計算技術ではなく、イメージ力を鍛えるトレーニングです」と説明する。暗算では頭の中にそろばんをイメージしながら計算するため、想像力や創造力、情報処理能力の向上につながるという。実際、暗算のトレーニングが右脳を活性化させるという研究結果も存在する。
「例えば、小学校で先生が生徒に対してゲームのルール説明をしたとしましょう。右脳でイメージできる子は、話を聞きながら『どうやったら勝てるんだろう』と、取るべき行動のイメージを広げることができます。一方でイメージが苦手な子は、左脳で言葉を処理するだけで精一杯になってしまうことが多いです」(彪雅氏)
また、テストなどの点数には表れない「非認知能力」の育成も大きな武器となる。制限時間内に正確に練習問題を解く緊張感を通して「集中力」や「判断力」を養い、コツコツと級を進める過程で「忍耐力」が身に付く。
「私たちはそろばんを通じて、子どもたちが社会に出たときに生きる力や人間力を育みたいと思っています。子どもたちが自分自身を輝かせられる場所で頑張ってほしいです」(彪雅氏)
教室は週3回まで通い放題で、月額9400円。沖縄県内では一番高い金額設定だというが、むらそろばんは「そろばんによる能力開発」を教室の特徴として打ち出しており、その考え方に共感した保護者や生徒が集まっているという。
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