JR北海道、5路線廃線の先に残る「赤字ローカル8路線」 誰が支えるのか(2/3 ページ)
5路線の廃線を終えたJR北海道。その先で問われるのは、赤字ローカル線8路線を誰が支えるのかという問題だ。自治体財政や上下分離方式の課題から、ローカル線存続の現実を読み解く。
産業衰退で厳しい地元の財政
もっとも、8線区の存続が決まったわけではない。今後、鉄道を維持できるかどうかは、支援する自治体の財政力にかかっている。
中でも、厳しい状況に置かれているのが、最も利用者が少ない「花咲線」(釧路市〜根室市)だ。花咲線の存続には、終点の根室市だけでなく、釧路市や釧路町、厚岸町、浜中町など沿線自治体の協力が欠かせない。ここでは、その一例として根室市の財政状況を見てみよう。
同市の面積は約503平方キロメートルと、福岡県北九州市とほぼ同じ広さだが、人口は約2万1000人(2026年5月時点)しかない。約90万人が暮らす北九州市とは人口規模が大きく異なり、一定の利用者がいなければ成り立たない鉄道にとっては厳しい地域だ。
根室市の2026年度一般会計予算は約286億円。このうち、市税や使用料など市が独自に確保できる自主財源は約45%にとどまる。さらに、その自主財源の柱となる市税収入も、予算全体の約1割しかない。
一方で、市は花咲線の維持にも予算を充てている。2026年度は約9690万円を計上し、主に観光振興に活用するほか、「ふるさと納税」を活用した基金も財源に充てる計画だ。「根室市ふるさと応援・公共交通維持安定化基金」では、2045年度までの20年間、年間約9340万円を予算に繰り入れる方針としている。
ただ、鉄道維持の財源を寄付金である「ふるさと納税」に大きく依存することには不安も残る。寄付額は景気や制度変更の影響を受けやすく、将来も安定して確保できる保証はない。こうした事情は、上下分離方式の導入を判断する際の課題にもなり得る。
実際、花咲線の2024年度の営業損失は約13億5000万円に上った。JR北海道が公表した8線区全体の費用構成を基に試算すると、花咲線で自治体が負担する設備関係の費用は年間約4億円を超えるとみられる。
さらに北海道では、冬の除雪費も重い負担となる。除雪費を確保できず、無人駅の廃止が進んだ例もある。花咲線を維持するには、根室市だけでなく、釧路市など沿線自治体がこうした費用を分担していく必要があり、その負担は決して小さくない。
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