同じ「目薬No.1シェア」でもここまで違う ロート製薬と参天製薬の異なる”稼ぎ方”(2/2 ページ)
ともに「目薬シェアNo.1」を掲げるロート製薬と参天製薬ですが、戦う市場は異なります。多角化で売り上げを拡大するロート製薬と、医療用眼科薬に特化し高収益を誇る参天製薬。事業構造から両社の違いをひも解きます。
今後の両社の方向性
ロート製薬と参天製薬の今後の成長戦略を見ると、両社のアプローチの違いがより明確に表れています。「ヘルスケア全般」へと領域を広げるロート製薬と、「眼科医療」を極める参天製薬という対照的な構図が見て取れます。
ロート製薬の中長期戦略
ロート製薬は中長期戦略において、以下の3つの課題を挙げています。
- 事業収益力の強化
- 技術商品力の深化と拡充
- メディカル事業の基盤構築
目薬やスキンケア、サプリメントなどのセルフケア事業をグローバルに展開して収益性の向上を目指すとともに、EYS社との連携を生かした生薬・漢方素材のサプリメントなどの商品開発を強化する予定です。また、メディカル領域では、眼科領域における近視進行抑制の点眼薬開発や、再生医療分野における研究開発にも注力し、次世代の事業基盤構築を目指しています。
これらの取り組みにより、2030年度には売上高4150億円、営業利益540億円へと拡大し、海外売上比率を53%にまで引き上げる計画です。
参天製薬の中期経営計画
参天製薬は、中長期的な利益成長と資本効率の向上を掲げています。成長の軸は、日本で培った眼科事業の強みを海外へさらに広げることです。EMEA、アジア、中国などの市場でシェアを高め、海外売上比率を2024年度の44%から58%に引き上げる予定です。
加えて、新たな疾患領域での市場創出にも注力しています。例えば、これまで手術が主な治療法であった、加齢などによる「後天性眼瞼下垂」(上まぶたが下がってくる疾患)に対する点眼治療薬や、子どもの近視進行を抑制する点眼薬などの新薬を展開。さらに、網膜疾患に向けたパイプライン(新薬の開発候補品)の拡充を図ることで、既存の眼科薬市場以外の収益源を育てていこうとしています。
同じ「目薬シェアNo.1」でも、両社のビジネスモデルは対照的です。
スキンケアなどへの多角化を進め、売上規模の最大化を図る「総合ヘルスケア企業」のロート製薬。一方、医療用眼科薬に特化し、高い専門性で高利益率を追求する「スペシャリティファーマ」の参天製薬。
今後もそれぞれの強みを生かしながら、目やヘルスケア市場でどのような成長を遂げるのか注目したいところです。
著者紹介:宮本建一
大阪府立大学経済学部卒。第二地方銀行にて預金・融資業務、消費者金融では債権回収、信用組合においては融資・経理・審査管理に従事。
現在はフリーライターとして、資金調達・資金繰り、銀行融資、ファクタリング等の金融ジャンルを中心に執筆する。
審査・回収・債権管理といった現場経験を踏まえ、制度や数字の解説にとどまらず、実務上の論点や注意点まで整理して提示することを得意とする。
中小企業の資金繰り改善や金融機関対応に関する記事実績多数。金融機関向け通信講座教材の企画・執筆経験あり。
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