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魚肉ソーセージは、なぜ「あの形」のままなのか 縮小市場で見えてきた、ロングセラー商品の戦い方(2/4 ページ)

市場が縮小する中、水産加工大手Umiosは魚肉ソーセージを大きく変えなかった。健康という価値は加えながら、味や形は守る。既存顧客には健康を、新規層には食べるきっかけを提供する――ロングセラー商品の価値を更新する戦略を追った。

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まず見直したのは「かつての顧客」

 現在の魚肉ソーセージの市場では、50〜70代が主要な購買層となっている。男女差は特になく、女性が購入し、夫婦や家族で食べるようなシーンも想定されるという。

 上山氏は「市場が活況だった1970〜80年代に魚肉ソーセージをよく食べていた方々が、今の50〜70代です」と説明する。

 市場が縮小すると、新たな顧客を獲得するために若者向けの商品を出したり、SNSで話題化を狙ったり、パッケージを刷新したりといった施策を考えがちだ。しかし、Umiosが着目したのは、すでに魚肉ソーセージを知っている層だった。

 かつて食べていた人たちに、もう一度手に取ってもらうにはどうすればいいのか。その問いから見えてきたのが「健康」という切り口だった。

 年齢を重ねるにつれ、健康診断の数値や食事の塩分量を気にする人は増えていく。子どもの頃に食べていた魚肉ソーセージに、現在の健康課題を解決する価値を加えられないか。そこから生まれた商品の一つが、2005年に発売した特定保健用食品(トクホ)「DHA入り リサーラ ソーセージ」だ。


リサーラシリーズでは2005年発売の「DHA入りリサーラソーセージ」が最も売れており、「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」が続くという(画像:筆者撮影)

 同商品は、血液中の中性脂肪を低下させる機能が報告されている、魚油由来の成分「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を1本当たり850ミリグラム配合した商品で、魚肉ソーセージとしては初めて特定保健用食品の許可を取得した(同社調べ)。魚肉ソーセージを「安価な常備食品」にとどめるのではなく、健康課題に応える食品として提案する。リサーラはその役割を担う商品として開発された。

 開発面で重視したのは、機能性だけではない。通常の魚肉ソーセージに近い味わいを保つことも意識した。リサーラには魚油由来のDHAを追加配合しているため、魚油特有の匂いが出やすい。そこで、味付けの配合を調整して匂いが気になりにくい味わいに仕上げた。また、DHAは酸化しやすい成分であることから、酸化による匂いの発生を抑える目的で、賞味期限も通常商品より短めに設定しているという。

 「健康訴求の商品でも、日常的においしく食べ続けられなければ定着しません。食べた時に飽きがこないような味わいにしています」と上山氏は説明する。

 もっとも、機能性を打ち出しただけですぐ売れたわけではない。認知を広げるため、テレビCMや店頭での販促物、売り場での展開などに取り組んだが、当初は苦戦したという。上山氏は「発売から一定の認知まで、3年程度はかかったという実感があります」と当時を振り返る。

 リサーラの購買層は魚肉ソーセージ全体の購買層の中でもやや年齢が高めで、健康意識の高い層が中心だ。健康診断のシーズンには売れ行きが伸びるほか、リピート率も高いという。機能性だけでなく、飽きのこない味わいを追求したことが、継続的な購入につながっている。

 近年は「リサーラシリーズ」として、心血管疾患のリスクに備える「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」や、減塩タイプも展開。2025年には鉄分入りや、肌の健康維持をサポートする成分を加えた魚肉ソーセージも発売した。年齢や生活シーンで異なるニーズに応え、魚肉ソーセージを日々の健康課題に寄り添う食品へと広げようとしているのだ。

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