老舗ホテル「川六」、DXで「3.4万時間」削減 年商30億円超の経理を「週3日・パート1人」で回す自動化の仕組み(3/3 ページ)
年間休日72日、有給取得率30%台――人手に頼る「根性経営」から脱却するため、ホテルチェーンを展開する川六は12年間にわたりDXを進めてきた。売上30億円規模の経理を「週3日・パート1人」で支え、470件を超えるAI活用を生み出した、取り組みの全貌に迫る。
地方ホテルを救う 川六が描く次の挑戦
川六は、こうして築いてきた仕組みを社外にも広げようとしている。現場の改善を続けながら導き出した“成功の型”を、経営に課題を抱える地方ホテルの再生に横展開する。
宿泊業界はインバウンドにより好調だと思われがちだが、地方都市では事情が異なる。多くの中堅・中小ホテルが大手チェーンにシェアを奪われ、人手に頼る労働集約型の経営手法から脱却できずにいるという。
「地方経済の灯を消さない。義務というより、使命だと思っています」(宝田社長)
川六モデルを発信するため、書籍『地域でいちばんピカピカなホテルのすごい仕組み』を刊行したほか、無料相談会も開催している。これにより、全国の宿泊業だけでなく、他業種からも相談が寄せられているという。その背景には、労働人口の減少という避けられない現実がある。顧客も従業員も減っていく中で、どの業界にとってもDXは、生き残るための前提条件になりつつある。
今後の展開として宝田社長は「川六モデルを習得し、各地のホテルを任せられる経営幹部を増やしていきたい」と構想を語る。
人手不足が深刻化する時代、川六が示したのは、DXやAIは人を置き換えるためではなく、人が力を発揮できる仕組みをつくるための経営の土台だという発想だった。
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