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なぜ日産の株主総会で“異例の事態”が起きたのか いま社外取締役と企業に求められる「ガバナンス意識」とは?(4/4 ページ)

日産の株主総会で、社外取締役を選任する議案が否決されるという“異例の事態”が起きた。背景には、何があるのか。

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海外では「兼務」に厳しい目が向けられている

 社外取締役の複数社兼務を良しとしない向きもあります。

 海外では既に社外取締役の兼務に厳しい目が向けられています。英国の企業統治指針では、企業の取締役が他社の社外取締役を兼務する場合、原則1社を限度としています。日産の社外取締役選任案に反対を推奨した議決権行使助言会社も、米国内において行き過ぎた複数社外取締役兼務に対して、選任議案に反対を推奨しているのです。

 日本でも、KADOKAWAの夏野剛社長に対して株主のオアシス・マネジメントが解任を求める株主提案をして話題を呼びました。直接の理由は業績の低迷に対する責任追及です。しかし、提案の中で夏野氏が上場4社の社外取締役を兼務していることも問題視しています。

 ちなみに夏野氏は、5社以外にも複数団体の代表や役員を兼務しています。この株主提案は再任賛成が59%で辛くも否決されました。しかし、上場企業の取締役が他社の社外取締役を兼務しているケースは他にも多く存在します。取締役の忠実義務、善管注意義務遂行の観点からも重大な問題提起となったと言えそうです。

 日産・永井氏のケースに見るもう一つの課題点として、不祥事を未然に察知できなかった、選任した取締役に大きな落ち度があったなどの場合、社外取締役の責任をいかに考えるか、という点は実に悩ましい問題でもあります。

 社外取締役は取締役である以上「取締役間の相互けん制」が原則ではありながら、上記のようなケースで責任の追及を取締役間でするのは難しいのが現実です。となれば、実質的には株主以外にこれをけん制するものはないといえます。ただ今回のように総会で選任を否決されるケースはまだまだレアであり、社外取締役自身の責任感と自覚に判断を委ねる以外にないということになるでしょう。

 社外取締役の役割に対する重要性が増し、注目度が高まるにつれて、社外取締役を務める者への自覚や覚悟についての要求も高まっています。安易な気持ちで受けられるものではないことは言わずもがなです。

 同時に企業としても、社外取締役の重任年数上限を規定するとともに、候補者の経歴(主業務および兼務状況など)、自社との一定の距離感を確認するのは当然のことです。加えて、社外取締役を引き受けるにふさわしい責任感と覚悟を持ち合わせているか否かの確認も必須であると考えます。企業にとってガバナンスが「まず形式を整え中身は後付け」という時代は、既に終わっていると言えるでしょう。

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。


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