「午後6時から葬儀、午後7時に火葬」 新サービス「夕刻葬」は“火葬待ち”を解決できるか:スピン経済の歩き方(7/7 ページ)
火葬待ちの解消や会食文化の復活に期待が集まる「夕刻葬」。業界関係者への取材から明らかとなった、その可能性とは――。
人を弔うとはどういうことか
今から30年ほど前は、ビジネスパーソンが「社葬」に参列することも珍しくなかった。50代くらいの人は「懐かしい」と感じるだろう。筆者も若いときには話をしたこともない取引先の社長や、その家族の葬儀に参列した経験がある。昔の営業マンは、いつでも通夜に参列できるように、会社に喪服を常備していた。
しかし、葬儀が簡素化して「近親者のみ」という形式が増えたことで、今の若者の中には「親も元気だし、お葬式に参列したことがない」という人も少なくない。そうなれば、「高額な費用をかけて葬儀をする必要はないのでは」「安いし火葬だけで十分じゃん」と、「葬儀のコストパフォーマンス」を重視するようになるのも当然かもしれない。
ただ、それでいいのか。人は亡くなった人を弔うという行為を、太古の昔から続けてきた。それは「遺された者」が心の整理をつけて、前向きに生きていくために必要な儀式だからではないのか。
東京博善によれば、大正時代までは夜間に火葬が行われるのが一般的だったという。家族や友人が食事を囲み、故人をしのぶ機会が少なくなる中で、夕刻葬は「葬送文化の伝統回帰」になるかもしれないのだ。
「家族だけ」「読経だけ」「火葬だけ」と葬儀の簡素化が進む中で、「夕方からのお葬式」は新たな選択肢として定着するのだろうか。多死社会を迎える日本で、その行方は葬送業界の未来を占う試金石となりそうだ。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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