“AIっぽい”メール返信はもう卒業 自分らしい文体を再現するカスタムGPT作成方法:その悩み、生成AIが解決
AIを活用してメール返信をすると、どうしても「AIっぽさ」が残ってしまう……。そんなときは、カスタムGPTを活用するとよい。
連載:その悩み、生成AIが解決
アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。
Q.メールの返信をAIに任せたいけれど、いつもの自分のメールと文体が異なり、不自然さが残ります。自分のメールらしさを再現するにはどうしたらいいですか?
AIによるメールの返信文の提案機能が搭載されたメールアプリは増えているが、意図したとおりの文面にならず、結局自分で書き直すというケースも少なくないだろう。
そこで試したいのが、自分が過去に書いたメールから文体の特徴を抽出し、それを踏まえてメールの文面を作るカスタムGPT(GPTs)だ。元にするメールを自分で選定でき、作成時には必要に応じてその都度独自の指示も加えられるので、いつもの自分の文面に近いメールを短時間で用意できるようになる。
著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
メール返信の「AIっぽさ」を解消する方法
まず、過去に自分が書いたメールから、今後AIで作成したい内容に近い形式のものを選定しよう。ある程度数をそろえたほうが精度が上がるので、5〜10通程度を目安に集めるとよい。
ただし、社内向けの連絡と取引先など外部向けの連絡では文体も変わってくる。「取引先との日常的な連絡」のように、ある程度シーンを絞り込んだ上で、最終的な文面に自分で納得できているものを選ぶのがポイントだ。
サンプルメールを用意したら、まずは個人名や会社名、案件名などの情報を伏せ字にしたり、未公開情報を削除したりといった処理を行う。目的はあくまでも文体の特徴を洗い出すことなので、これらの情報は削っても支障はない。
準備ができたら、メールを添えて以下のように指示しよう。
プロンプト
以下は、私が取引先に送ったメールのサンプルです。これらを分析し、共通する文体と伝え方の特徴を整理してください。
(以下にメールを貼る)
すると、サンプルのメールに共通する特徴をまとめたものが返ってくる。文章全体の特徴や、情報の伝え方の特徴などが、詳細に分析されている。
回答
共通する特徴は、簡潔で事務的だが、相手への配慮を十分に示す文体である。過度に親しげにならず、取引先との適切な距離を保ちながら、要件を明確に伝えている。
1. 文体の基本的な特徴
丁寧だが、過剰にかしこまらない
「お世話になっております」「どうぞよろしくお願いいたします」など、一般的なビジネスメールの定型表現を使いつつ、儀礼的な文章を長く重ねていない。
「謹啓」「平素は格別のご高配を賜り」といった硬い表現は使わず、日常的な取引先とのやり取りに適した丁寧さに収めている。
短い文を中心に構成する
一文に多くの情報を詰め込まず、内容ごとに文を区切っている。
例えば、ファイル送付のメールでは、
- 何を送るのか
- どのような基準で整理したのか
(中略)
感情的・装飾的な表現が少ない
「大変うれしく思います」「心より感謝申し上げます」といった強い感情表現はほとんど使わない。
(中略)
2. 情報の伝え方の特徴
冒頭で用件を明示する
挨拶や謝罪のあと、早い段階でメールの目的を示している。
(後略)
なお、分析結果はそのまま使うのではなく、一通り目視でも確認しておこう。たまたまサンプルに偏りがあっただけの特徴や、今後は直していきたいクセが「自分らしさ」として抽出されていることもあるためだ。不要な項目は削除を指示し、必要に応じて「もう少し柔らかい印象にしたい」など、今後目指したい方向性を示して修正を加えておくとよい。
カスタムGPTの設定方法は? 「最初のひと手間」が肝心
続いて、ChatGPTのカスタムGPTを作成する。もちろん、GeminiのGemやClaudeのプロジェクトなど、他の同様のツールを使っても構わない。
先ほどの出力に続けて「この特徴を再現したメール文を作成するための、カスタムGPT用のプロンプトを作成してください」と指示しよう。
すると、抽出された特徴を元にしたカスタムGPT用のプロンプトが出力される。
カスタムGPT用プロンプト
あなたは、取引先向けのビジネスメール作成を支援するアシスタントです。
ユーザーから伝えたい内容、相手との関係、メールの目的などを受け取り、以下の文体とルールに従ってメールを作成してください。
基本的な文体
- 丁寧で簡潔なビジネス文体を使用する
- 相手との適切な距離を保ち、親しげすぎる表現は避ける
- 過度にかしこまった表現や、儀礼的で長い挨拶は使わない
- 感情を強く表す表現や、過剰な賛辞は避ける
- 要件は明確に伝えるが、冷たい印象にならないよう、必要な箇所には短い配慮表現を添える
文章の構成
原則として、以下の順番で構成する。
1.宛名
2.「お世話になっております」などの簡潔な挨拶
3.必要に応じて、感謝や謝罪
(中略)
挨拶のあと、できるだけ早い段階でメールの目的を明示する。
情報の伝え方
- 結論や用件を先に伝え、理由や詳細を後から補足する
- 一文に多くの情報を詰め込まず、内容ごとに文を分ける
- 一つの段落は短くし、内容の切れ目ごとに空行を入れる
- 複数の論点がある場合は「■」付きの見出しや箇条書きを使う
(後略)
出力されたプロンプトをカスタムGPTの「指示」欄に貼り付ければ、メール作成用のカスタムGPTが完成する。
あとは毎回のメール作成時にこのカスタムGPTを呼び出し、受信したメールの文面や、返信で伝えたい内容を渡すだけでよい。
必要に応じて、相手との関係性や、直前のやり取りのうち返信に反映したほうがよい事項といった、そのメール独自の背景情報も記載すれば、より最適化された文面になる。
実際に運用してみていまひとつだと感じる出力があれば、カスタムGPTに追加の指示を追加していこう。使いながらより自分に最適な形に「育てていける」ことも、この方法のメリットだ。
AIによる省力化は、今回のように「最初のひと手間」が必要なケースも多い。とはいえ、メールの返信は毎日発生する作業であり、一度仕組みを作ってしまえば長く利用できる。定型的なメールのやりとりが多いケースほど、その効果を実感できるはずだ。
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