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サンリオ、東映アニメは“米IT大手級”の利益率 “サブカル”は「モノづくり大国」の次代を担えるか古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/2 ページ)

モノづくり大国・日本で、IP産業の存在感が増している。海外売り上げ規模は、鉄鋼業を上回った。“サブカル”は輸出産業の柱になるのか。

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サンリオと東映アニメ、米巨大IT企業級の利益率 成長の柱は

 この構造は、企業の収益性に鮮明に表れている。

 サンリオは、2026年3月期の通期売上高が1940億8800万円(前期比33.9%増)、営業利益が778億5900万円(同50.3%増)と大幅な増収増益で、2027年3月期も営業利益895億円(同15.0%増)を見込む。同期の営業利益率は40%に達する。

 東映アニメーションはさらに象徴的だ。2026年3月期は、前年同期に劇場公開したヒット作の反動で売上高936億6900万円(前期比7.1%減)、営業利益310億1800万円(同4.4%減)と減収減益ながら、最終利益は250億円と過去最高を記録した。海外における版権事業が期初見込みを上回って好調に推移し、海外売上比率は63%に上昇した。営業利益率は33%。国内の興行収入が落ちても『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』の海外ライセンスが穴を埋めた形だ。

 製造業の利益率は、優良企業でも10%前後が一般的とされる。コンテンツ企業2社の利益率が米国の巨大IT企業並みの30〜40%に達するのは、売っているものが鉄板でもクルマでもなく「権利」だからだ。

 興味深いのは、同じ産業の中でも「権利を貸すか、モノを売るか」で収益性が変わることだ。

 バンダイナムコホールディングス(以下、バンダイナムコHD)は2026年3月期に売上高1兆3482億4600万円、営業利益1895億1700万円を計上した。IP別で見た売上高は「機動戦士ガンダム」シリーズが特に好調であったこともあり、同シリーズの売り上げは前年同期比65.6%増となる2543億円と過去最高を記録した。

 だがグループ全体の営業利益率は14%程度にとどまる。理由は明快だ。同社は玩具やプラモデル、ゲームという「モノ」を自ら作って売っている。工場があり、在庫があり、物流費がかかる。サンリオのように権利を貸すだけの構造とは、コストの重さが違う。

 もっとも、14%という水準は売上高1兆円を超える企業としては非常に優秀な部類であることを付け加えておきたい。バンダイナムコHDは、1つのIPを玩具・ゲーム・映像・イベントへ多重展開する「IP軸戦略」を取っているが、これが物販の重さを補う高収益を実現しているとみられる。

何度も使い回せるコンテンツ輸出の“泣きどころ”

 鉄鋼輸出が3年連続で減り、コンテンツ輸出が6兆円を超えた。この逆転は、単なる産業の入れ替わりではない。日本の稼ぎ方が「モノを作って運ぶ」から「権利を作って貸す」へ移りつつあることを示している。

 問われているのは、どれだけ多くの作品を作れるかではない。生み出したものを、どれだけ確実に「権利」として保有し、何度も使い回せる形に変換できるかにある。東映アニメーションが国内の反動減を海外版権で埋め、過去最高益を出したのは、その好例といえる。

 ただし、高い利益率は歓迎されるべきものである一方で「権利を持つ側だけがもうかる」構造は、裏を返せば権利を持たない制作現場に利益が残りにくいことを意味する。経済産業省の戦略が人材育成やクリエイターへの還元を掲げているのは、まさにこの構造的な偏りを認識しているからだろう。

 高炉や造船所と違い、コンテンツ産業の「生産設備」は人である。設備なら減価償却で済むが、人は待遇が悪ければ辞めていく。権利を生み出す現場が枯れれば、貸し出す権利そのものが尽きる。20兆円という目標の成否を握るのは、政府の計画でも作品の本数でもない。稼いだ果実を、次の作品を生む人々の元へどれだけ戻せるかである。

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