なぜ、カラオケの第一興商が「介護現場のインフラ」に? 10年間の不遇を乗り越え“高収益・安定ビジネス”へ化けたワケ:アセットの再定義(3/3 ページ)
第一興商のカラオケはなぜ介護現場のインフラとなったのか。10年に及ぶ社内の反発や収益モデルの課題を乗り越え、現場のレク負担解消と機能訓練の価値を提示。行政予算も巻き込み高収益事業へと化けた裏側に迫る。
行政予算を引き込むエコシステム
デイサービス事業者の約半数が赤字といわれる厳しい介護業界の中で、第一興商は「自治体・行政施設」への展開にも注力している。
厚生労働省では「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に基づき、高齢者のフレイル(虚弱)予防や孤立防止を目的とした「通いの場」の全国的な拡充を進めている。こうした国の方針を追い風に、地域住民の集いの場である福祉施設や公民館、地区センターなどの公的施設へDKエルダーシステムの導入を働きかけた。
既に東京都中野区、長野県松本市、大阪府泉佐野市などの自治体で導入が進み、泉佐野市では市内約50施設で約5000万円規模の設備更新予算が組まれるなど、行政予算を巻き込むことに成功している。
さらにDKエルダーシステムは神奈川県から優れた未病改善サービスとして「ME-BYO BRAND(未病ブランド)」の認定を受けるなど、自治体からの公的な評価を獲得している。
こうした行政予算を引き込むエコシステムと、自治体の「お墨付き」を得る戦略は、そのまま同社の安定した収益につながっている。現在、第一興商の業務用カラオケ事業全体の売り上げ(約600億円)のうち、DKエルダーシステムを含むシニア事業が10%以上を占めるまでになった。
祖業で築いた資産の価値を、時代に合わせて再定義する。この地道だが戦略的なサバイバル術は、成熟市場で戦う企業にとって教訓となるはずだ。
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