米国が“最先端AI”に制限をかけたワケ 投資額は20分の1なのに、なぜ「中国AI」を恐れるのか(2/3 ページ)
最先端AIを海外で利用できなくした米国政府。その背景には、AIの安全保障上の懸念に加え、急速に存在感を高める中国AIへの警戒があった。
自国の首を絞める米国のジレンマ
この規制は、米国自身にも大きなダメージを与えている。
例えば、「バイブコーディング」という言葉を広めた研究者のアンドレイ・カルパシー(Andrej Karpathy)氏も米国籍を持っていないため、一時的に利用できなくなった。また、OpenAIやAnthropicといったAI開発企業にとっても、利用者を制限すれば収益に影響する。
それでも米国政府が厳しい規制を続ける背景には、安全保障上の懸念がある。AIが悪用されれば、経済や社会の安全が脅かされる恐れがあるためだ。
多額の資金を投じて開発した最先端モデルを世界中で自由に利用できるようにすれば、中国やロシアの研究者も性能を分析したり、自国のAI開発に生かしたりする可能性がある。米国政府は、こうした技術流出のリスクを警戒している。
実際、中国のAIは急速に進化している。米スタンフォード大学が4月に公表した「AI Index」という論文によると、米国の最先端AIと中国の最先端AIとの性能差は2.7ポイントまで縮まった。わずか数年で、中国は急速に差を縮めている。
注目すべきなのが「投資効率」だ。米国の民間企業によるAI投資額は約43兆円とされる一方、中国は約2兆円にとどまる。米国の約20分の1の資金でありながら、中国のAIは急速な成長を遂げている。
中国AIが急成長した理由の一つは、皮肉にも米国の輸出規制だ。
中国企業は、米国の輸出規制により、AI開発に不可欠な高性能GPU(画像処理半導体)を十分に調達できない。計算資源やインフラが圧倒的に不足する中でも高い性能を引き出せるよう、効率化を徹底して進めてきた。
米国はAPI利用料のかかる「クローズドモデル」が主流だ。一方、中国では「オープンウェイトモデル」を広く採用している。AIの学習済みデータが公開されており、企業は自社サーバにダウンロードし、自由にカスタマイズして商用利用できる。
オープンウェイトモデルはクローズドモデルと比べてAPIコストを約8割カットできると言われているうえ、世界中のエンジニアが改良に参加できるという利点がある。限られた環境だからこそ、性能を高めるための創意工夫が積み重ねられ、急速に進化している。
中国のオープンウェイトモデルが、いつまでも米国の後塵を拝しているという印象は、もはや持たない方がいいだろう。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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