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KDDIも40年前はスタートアップだった 高橋会長の“昔話”から考える、日本企業の成長戦略(2/2 ページ)

KDDIはイケイケの人たちが作った――KDDIの高橋誠会長は、こう振り返る。“スタートアップ精神”で成長してきた同社から、企業の成長戦略を考える。

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大企業はなぜチャレンジできなくなってしまったのか

――日本のベンチャーを巡る課題については、どうお考えですか。

宮内シニア・チェアマン 課題が2つあります。一つは、ベンチャービジネスを受け入れる資金があまりにも小さいことです。資金があってもリスクを怖がるため、米国市場のように十分に回っていません。

 もう一つは、ベンチャーの皆さんは良い技術を持っています。大企業がそれを見つけて一緒に取り組む動きは素晴らしいのですが、ベンチャーを受け入れる組織がありません。いわゆる官僚的な組織を変えない限り、ベンチャーと一緒に働くことは難しいのではないでしょうか。

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オリックスの宮内シニア・チェアマン(編集部撮影)

――大企業にも優秀な人が多くいるのに、なぜダイナミックなチャレンジができないのでしょうか。

宮内シニア・チェアマン 大企業は、ビジネスに成功して成長しました。成功するためのシステムが残ってしまったわけです。典型的なものが「終身雇用」「定年制度」「年功序列」といった官僚的な仕組みです。これらを残していると、ベンチャーと一緒にやるのは難しいでしょう。

高橋会長 私も同意見です。大企業は、そう簡単に変えられません。新規事業をスピンアウトさせれば、人事制度を変えられるし、会議も減らせる。無いものねだりをするのではなく、新しい仕組みを作れます。歴史ある日本企業が悪いわけではありません。長く続く良い企業を作ってきたので、そこと違う別組織として成長させるのがよいと考えています。

平井議員 2021年にデジタル庁を立ち上げたときに「ガバメント・アズ・ア・スタートアップ」(スタートアップのように機動的な政府組織)という言葉を掲げました。官民から人材を募って新しい組織を作ったものの、5年がたってみると、やはり官僚組織の継続性や前例主義が強く出てしまいます。

 これはなぜか。官僚組織には「間違えては駄目」「失敗しては駄目」という意識が強くあります。また「多少のリスクがあっても新しいことをやろう」「まずは作って変えていこう」というアジャイルな考え方を持つ民間人と一緒にやる難しさを経験してきました。マインドセットを変えることは、簡単ではありません。

 1回でも失敗した人が不利な立場に立たされる文化が官民どちらにもあり、それを恐れる企業意識がスタートアップ成長の足かせになっている気がします。

――米国シリコンバレーでは、失敗した企業に投資することがあります。失敗した分だけ学習しているから。しかし日本は、一度失敗したら“終わり”という雰囲気があります。

宮内シニア・チェアマン オリックスは多角化して成功したようにみられますが、失敗の数の方が多いのです。経営者として手腕を振るい、失敗を小さくとどめて成功を大きくできれば、企業を成長させられます。

次の勝ち筋は「AI」にあり KDDI高橋会長はどう見るか?

――AIについても伺います。皆さんは、AIの可能性をどう感じていますか。

高橋会長 KDDIの社長だったときは多忙だったのですが、会長になって部下もいなくなり、AIと遊ぶ時間ができました。AI、フィジカルAI――こんなに面白い産業はないのではないか、と思います。

 AI分野は米国が先行する中で、日本らしいところを生かすことが大切です。エンドユーザーに近い産業があり、ここにフィジカルAIを導入する可能性が広がっています。

平井議員 私は、AIエージェントを幾つか稼働させて生産性を高めています。やっぱり便利ですね。AIは、1つの産業にすぎないかもしれませんが、全産業にまたがるインフラになると思います。そのとき、普段の仕事に必要なのはフロンティアモデルではなく、再現性のある安心できるAIです。信頼できる社会実装の分野で、多くのスタートアップが成功していくでしょうし、日本の勝ち筋になるはずです。

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左から、司会を務めた一橋大学の米倉誠一郎名誉教授、オリックスの宮内シニア・チェアマン、KDDIの高橋会長、平井議員(写真提供:Pegasus Tech Ventures)

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