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なぜサンリオは「管理職の5%が時短勤務」を実現できたのか 現場の「不公平感」をどう解消?(1/2 ページ)

サンリオは女性管理職比率を2021年度の32.9%から、2025年度には44.4%へと大きく伸ばした。同社では時短勤務をしながらリーダーやマネジャーを務める社員が増加しており、現在は管理職の5%を時短勤務者が占めるという。同社はどのように女性活躍推進を進めてきたのか、そして「不公平感」を生まないよう、どのような工夫をしているのか。

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 国内企業の女性管理職比率は、現在12〜13%台で「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度」という国の目標値とは大きく乖離(かいり)している。企業も努力はしているが「そもそも女性が管理職になりたがらない」「両立支援に力を入れると対象外の社員の不満が高まる」といった壁が立ちふさがり、足踏みしているところが多い。

 そんな中、女性管理職比率を2021年度の32.9%から、2025年度には44.4%へと大きく伸ばしたのがサンリオだ(※)。同社では時短勤務をしながらリーダーやマネジャーを務める社員が増加しており、現在は管理職の5%を時短勤務者が占める。常務執行役員の三好加奈子氏に話を聞くと、時短勤務や子育てに限らず、誰もが安心してリーダーにチャレンジできる環境を、ソフトとハード両面からカバーする、サンリオの姿勢が見えてきた。

※サンリオESGデータ参照

新体制による「第二の創業」 V字回復を支えた人事制度の見直し

 サンリオの女性管理職の増加は、それ単体で推し進められたわけではなく、経営体制の刷新に伴う改革の成果の一つだ。

 同社は2020年、それまで60年にわたり社長を務めた創業者の辻信太郎氏の孫で、当時31歳の辻朋邦氏が2代目の社長に就任した。そして2022年からの中期経営計画で「第二の創業」を宣言。7期連続で減収減益となった2021年3月期からV字回復を遂げ、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)は調整後営業利益が784億円と、過去最高を記録した。この改革の土台として位置付けられたのが、人事制度の見直しなどを含む「組織風土改革」である。

 サンリオはもともと女性社員が7割近くを占め、能力も意欲も高い女性が多い。しかし、管理職となると男女比が逆転していた。その状況が改善に向かい始めたのは、女性を優先的に昇進させるといった優遇策ではなく、人材マネジメント全体を見直した結果だと、三好氏は語る。


サンリオ 常務執行役員の三好加奈子氏(サンリオ提供)

 「『第二の創業』と銘打って始めた組織風土改革の一環として、評価制度の透明性向上、成果や責任に報いる報酬制度の整備といった人事制度の見直し、管理職任用プロセスの見直し、育児や介護などのライフイベントがあってもキャリアを継続できる環境づくりなどを進めてきました」

 「加えて、女性がもっと管理職に挑戦してみようと思えるような後押しもしています。例えば『私もこういう管理職を目指せるといいな』と思えるような女性の役員や部長によるパネルディスカッションの開催。性別や年齢にかかわらずキャリア開発の支援になるような研修の提供。ワークとライフの両立について悩んでいる社員に個別のキャリアコーチングを受けてもらう、といったことです。女性管理職比率の向上はそれらの結果と考えています」(三好氏)

「時短で管理職」が5% 時短勤務「小6まで」に変更→全員が延長を選択

 サンリオの女性活躍推進は、単発の施策ではない。一貫した方針の下で「環境整備」「風土醸成」「上司からの働きかけと育成」「企業理念への共感」という4つの要素がかみ合い、機能しているのが特徴だ。

【環境整備】社員の声をもとに両立支援策をバージョンアップ

 ライフイベントがあってもキャリアを継続できる環境づくりの代表例が、2025年に新設された「SRHR(性と生殖に関する健康と権利)休暇」と、時短勤務対象の拡張だ。これらは全社アンケートに寄せられた社員の声をもとに導入した。

 SRHR休暇導入以前も、生理休暇を導入していた。しかし、形骸化して使われていなかった状況を鑑み、不妊治療など性と生殖に関する不調や治療に関して男女を問わず利用できるものに変更。また、無給の休暇とすることで理由の申告を不要とし、利用のハードルを下げた。それが功を奏し、初年度は数十名、2年目の今年はさらに利用者が増えている。

 また、時短勤務は従来の「小学3年生修了まで」を「小学6年生修了まで」に延長。その結果、子どもが4年生になる時短勤務者は全員が時短勤務を継続し、小学5、6年生の子を持つ社員で時短勤務を再開するケースもあったという。まさに望まれていた制度のバージョンアップであったことが分かる。

 特筆すべきは、サンリオでは時短勤務をしながらリーダーやマネジャーを務める社員が増加しており、現在は管理職の5%を時短勤務者が占める点だ。働く時間が短くても成果で評価する制度運用と、管理職の権限を一部補佐する「アシスタントマネジャー」職の新設など、サポート体制を整えることで「時短でも管理職ができる」という認識が広がり、挑戦しやすい状況が生まれている。

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