なぜ若者は広島を離れるのか 5万件の口コミ分析で見えた"意外な理由":火曜日に「へえ」な話(1/3 ページ)
広島県では若者の転出超過が5年連続で全国最多となった。なぜ若者は地元を離れるのか。5万件超の口コミや求人、転職データを分析すると、給料だけでは見えてこない意外な理由と、企業が取り組めるヒントが浮かび上がった。
○○したら、数字が見えてきた:
数字は、眺めているだけでは見えてこないことがある。けれど、少し掘り下げると「あれ、思っていたのと違う」という発見がある。本特集では、データの裏側に隠れた企業や人の「へえ」を拾い上げていく。
なぜ若者は広島を離れ、戻ってこないのか――。
そんな問いから始まったのが、マツダ、ひろぎんホールディングス(HD)、中国電力の3社と広島県が2024年に立ち上げた企業ネットワーク「HATAful(はたフル)」だ。
総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、広島県の転出超過数は2025年に9921人となり、5年連続で全国最多だった。その中心になっているのが20代。大学進学や就職をきっかけに広島を離れ、そのまま県外で働くケースが目立っている。
そこでHATAfulは、転職・就職情報プラットフォーム「OpenWork」の協力を得て、広島企業に関する5万件超の口コミや求人情報、転職データを分析した。すると「やはりそうか」と思う結果だけでなく、データを見て初めて分かったこともあった。
例えば、給料。「やっぱり東京のほうが給料は高いよね」。そんな印象を持つ人も多いはず。実際、転職サービス「doda」の調査によると、東京都の平均年収は476万円で、都道府県別で最も高い。都市部ほど高く、地方ほど低い傾向がある。ところが、今回の分析で見えてきたのは、単純な年収の差ではなかった。
23歳時点の年収を1として、その約2倍に到達するのは東京が45歳。広島は55歳以降だった。給料の伸びるスピードには、10年近い開きがある計算になる。
「東京のほうが給与水準は高いだろうという認識はありました。ただ、昇給速度にこれほど違いがあるとは思っていませんでした」。ひろぎんHDの執行役員・木下麻子さんも、今回の分析で初めて見えてきた発見だったと話す。
気になるのは、この傾向が広島だけにとどまらなかったことだ。大阪、愛知、福岡でも、東京に比べると昇給ペースはゆるやかだった。OpenWorkの執行役員CSO・栗本廉さんは「今回のような分析は初めて。人口規模がさらに小さい県では、もっと差が出ても不思議ではありません」と話す。
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