京都市長「観光客増で都市がパンク」懸念 問われる対策、“ディープなファン”増やす作戦は(2/2 ページ)
観光客数6279万人、観光消費額2兆474億円と過去最高を更新した京都市。しかし、オーバーツーリズムを始めとする課題も多い。松井孝治市長と評論家・宮崎哲弥氏が持続可能なまちづくりを考える。
タクシーがつかまらない 観光と市民生活をどう両立するか
宮崎氏 (観光業の振興を議論する上で)観光客が市民の生活に及ぼす影響は深刻な課題です。私自身、京都に住んでいて痛感しますが、特に桜や紅葉のシーズンになるとタクシーをつかまえるのに苦戦している人を見かけることも多いです。
松井市長 市民アンケートでも約8割の方が観光による混雑やマナー違反を迷惑に感じていると回答しています。京都は道が狭く、東京のように大規模な鉄道網が整備された都市とは構造が異なります。
京都の道路や公共交通、地域コミュニティーなどが受け入れられる「都市キャパシティー」の限界を超えて観光客が増え続ければ、都市そのものがパンクしてしまいます。そのため、生活コミュニティーに悪影響を及ぼす民泊への規制強化や、混雑の分散化を急いでいます。
――観光による効果を市民にどう還元し、市民生活を守っていくかが問われていますね。
松井市長 観光によって得られる恩恵を市民に還元する取り組みとして、現在、国土交通省と交渉を進めているのが「市民優先価格」の導入です。
2027年度中の導入を目指し、市バスにおいて市民の運賃は200円程度に抑える一方、市民以外の利用者の運賃を350〜400円程度に設定する方向で調整しています。民間バス会社との調整など課題はありますが、市民生活の利便性を守る具体的な施策として進めていきます。
「円安」がなくても観光客は訪れるか 問われる「観光経営」の実力
宮崎氏 現在、インバウンドの数が好調な背景に「円安」という強い追い風が働いている点についても、考えなければなりません。将来的に為替が円高方向へシフトした際、現在と同水準の観光客が訪れ、同じように消費してくれるか――真価が問われます。円安の恩恵に甘んじることなく、先読みして消費構造の改革を進める必要があります。
松井市長 全体的な構造改革が必要です。観光客数の拡大により、京都の魅力が世界中に知れ渡りました。混雑の緩和や公共交通などのインフラの見直し、消費の高付加価値化などを一体で進めなければなりません。
宮崎氏 何度も京都を訪れて魅力を深く知りたいという「本当のコアなファン」の声に耳を傾けることも、将来的な持続可能性につながりそうですね。
松井市長 成果の8割は全体の2割から生まれることを表す「パレートの法則」になぞらえるなら、京都の本質的な魅力を理解し、愛してくれるファンの声に耳を傾けることは重要です。それが結果として初回訪問者の満足度向上やリピートにもつながります。
京都市が目指す将来像は「住んでよし」「働いてよし」「訪れてよし」の「三方のよし」です。市民の暮らしを守り、伝統工芸や地場産業を後押しし、訪れる人々にも深い感動を提供する。この調和を目指し、京都の観光経営に取り組んでいきます。
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