「生成AIがあればコンサル不要」論者に見えていないこと(3/4 ページ)
「経営コンサル不要論」が叫ばれているが、AIが代替できるのは情報収集や資料作成といった一部の作業の高速化に過ぎない。「AIで十分」と主張する論者が見落としているコンサルティング本来の役割と、AI活用における境界線を整理する。
生成AIができること、絶対にできないこと
このプロセスを冷徹に俯瞰したとき、生成AIが代替できる範囲はどこまでだろうか。
AIが威力を発揮できるのは、「課題解決仮説」の選択肢を生み出す際の初期的なアイデア出し(※)、実施した1次ヒアリングや専門家との議論結果のテキスト整理、そして実行策オプションのブレインストーミング程度である。もちろん、ファシリテーションに使用する会議資料をビジュアル面で分かりやすく整えることや、会議中の議事録を瞬時に要約作成することにも極めて有効だ。
※ちなみに戦略コンサルの現場では、生成AIによる初期仮説の抽出は「抜け防止策」としてしか役立たない。なぜならネット上の情報や過去事例を基に生成されるためイノベーティブな発想に欠け、最終オプションとして生き残ることは殆どないからだ。また、某大手コンサル会社(いわゆる「総合系」)出身のベンチャー企業幹部が「仮説出しなら今どきの生成AIでもできますよね」と真顔で話してくれたことがある。彼らは競争戦略の策定ではなく、過去事例のコピー適用が有効な業務改革分野だけで生きてきたのだと実感させられた。
しかし、プロセスの要所要所に登場する「仮説の検証」となると、生成AIには絶対に不可能と言わざるを得ない。
なぜなら、生成AIが得意とするWeb上の2次文献や既存の公開情報をいくら検索・整理したところで、クライアントから返ってくるのは「そんなことは何となく知っていた」という反応であり、深い議論や本質的な認識の更新には到底至らないからだ。
事業の成否を分ける仮説検証とは、生身の人間(現場のキーパーソン、顧客、業界の専門家)に直接仮説をぶつけ、その瞬間の表情、躊躇、言葉のトーン、行間ににじみ出る本音といった「生きた反応」を観察しながら、真偽や是非、重要度や納得度を評価していく泥臭い作業である。これは人間にしか不可能な領域だ。
また、現実の経営課題は極めて入り組んだ文脈の上に成り立っている。組織の人間関係、過去の経緯、財務的制約、業界慣習などといった多元的かつ複雑な要素を考慮しなければならない場面では、AIに対して適正なプロンプト(指示文)を出せる人間などまず存在しない。
仮にその状況要素をすべて言語化してプロンプトをチューニングしようとすれば、あまりに莫大な時間と労力がかかり、実務的ではなくなってしまう。
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