2015年7月27日以前の記事
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単なる「原価上昇→価格転嫁」では失敗する! “納得感”のある値上げと、客離れを起こす値上げの本質的な違い(4/5 ページ)

「値上げ」と聞くとネガティブな印象を受けることも多いが、実は値上げそのものが絶対悪なわけではない。小売りのプロが、実際の商品価格を分析しながら今あるべき価格戦略を解説していく。

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値上げは「粗利」以外も総合的に判断すべき

 原価上昇を価格へ転嫁しても、客数や販売数量まで含めなければ採算は判断できません。

 販売価格100円、原価70円、販売数量100個なら、1個当たり粗利は30円、粗利総額は3000円です。原価が70円から80円へと約14%上がったため、販売価格も15%上げて115円に改定したとします。1個当たり粗利は35円となり、値上げ前の30円を上回ります。粗利率も30.0%から30.4%へわずかに上がります。しかし、値上げによって客数・販売数量が20%減り、80個になれば、粗利総額は2800円です。単品の粗利額を確保・拡大しても、全体では200円、6.7%減ります。

 値上げ前の粗利総額3000円を維持するには約86個の販売が必要で、数量減少を約14%以内に抑えなければなりません。このように、価格転嫁の成否は単品の粗利ではなく、値上げ後の客数・数量を掛け合わせた粗利総額や、買い合わせによる客単価や来店頻度など多角的な検証が必要とされます。

特に重要なのが「チャネルごとの役割」

 今回の調査結果から得られるのは「高い価格でも販売しているのだから、自社もそこまで上げられる」という視点ではありません。自動販売機の価格には即時性や冷却、コンビニの価格には総合的品ぞろえや営業時間、ECの価格には配送や販売単位を含んでいます。同じ商品でも、顧客が購入する場面と受け取る便益が違うため、成立する価格も違う点を意識しましょう。

 企業が設計すべきなのは単一の価格ではなく、チャネルごとの役割です。例えば、ドラッグストアやスーパーは価格訴求とまとめ買い、自動販売機やコンビニは即時消費、ECはケース購入と配送利便性というように、購入目的を分けて考えます。その上で、容量、パッケージ、限定商品、ポイント、配送条件などを変え、価格差の理由を顧客に見える形にする必要があります。同一仕様の商品を異なる価格で並べるだけでは、安いチャネルへ顧客を誘導する結果になりかねません。

 今回の調査だけでは販売数量を確認できないため、商品ごとにどの価格が最も支持されたか、企業側にとって利益成果を上げられたかは判断できません。自社のPOSデータなどを重ね、価格帯別の数量、併買、再購入率まで見て初めて、消費者が値上げに耐えられる範囲を推定できます。

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