単なる「原価上昇→価格転嫁」では失敗する! “納得感”のある値上げと、客離れを起こす値上げの本質的な違い(5/5 ページ)
「値上げ」と聞くとネガティブな印象を受けることも多いが、実は値上げそのものが絶対悪なわけではない。小売りのプロが、実際の商品価格を分析しながら今あるべき価格戦略を解説していく。
「値上げ=絶対悪」ではない
結論は、値上げそのものが危険なのではなく、市場価格と顧客価値を確認せずに一律値上げすることが危険だという点です。
紹介した3つの図が示す通り、同じ商品でも顧客が出会う価格は大きく異なります。既に高いチャネルでさらに値上げすれば、価格差が消費者の許容範囲を超える可能性があります。一方、利便性、品質、容量、接客、購買体験など、価格差を説明できる価値があれば、高い価格でも選ばれるでしょう。
実務では、第一に商品別・商圏別・チャネル別の実勢価格を把握する。第二に、値上げ幅以上の価値を顧客が認識できる状態をつくる。第三に、値上げ後は客単価や粗利率だけでなく、客数、販売数量、買上点数、粗利額、購買頻度を追うべきです。価格改定を一度きりの決裁ではなく、検証して修正できる経営サイクルに変える必要があります。
短期的に売り上げが伸びても、顧客と数量を失えば最後に減るのは粗利額です。企業が守るべきなのは価格そのものではありません。顧客が「この価格なら選ぶ」と判断できる納得感です。
最後までお読み頂いただききありがとうございました。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
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