「並んでも買えない」「30分で完売」 なぜ、ミスド「もっちゅりん」はここまで大ブームになったのか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/7 ページ)
昨年に続き、ミスドのもっちゅりんが大ブームとなった。もともと第2弾の販売を予定していたが、人気すぎて取りやめとなったほどだ。なぜ、ここまで大人気となったのか?
実は最悪のタイミングだったポン・デ・リング
実はポン・デ・リングが流行したタイミングは、ミスタードーナツにとって最悪ともいえる時期だった。
当時のミスタードーナツは、2002年に発覚した「ミスター飲茶」の中国製「大肉まん」を巡る不祥事で揺れていた。日本では使用が認められていなかった酸化防止剤が使われていたことが、内部告発によって判明したのだ。
しかも、担当役員が問題を指摘した取引業者に6300万円を支払い、隠蔽(いんぺい)を図ったことも明らかとなった。また、問題を把握しながらも未出荷だった約300万個の在庫を売り切る判断をしていたことも判明し、社会問題へと発展したのである。
この不祥事により、ミスタードーナツはもちろん、運営会社であるダスキンのイメージも著しく低下し、上田武社長が引責辞任する事態となった。それだけに、常務から昇格した伊東英幸社長の下で発売されたポン・デ・リングは、会社の立て直しを後押しした救世主とも言える存在だった。
もっちゅりんはこうした不祥事の影響を受けた商品ではないが、このポン・デ・リングの存在がなかったら生まれなかったかもしれない。
もっちゅりん大ヒットの要因は?
このように考えてみると、もっちゅりんのヒットは、ポン・デ・リングが切り開いたもちもち食感の流れが、現代的な形になったものと言えるだろう。
その背景には、コロナ禍以降に広がった生ドーナツという新しい潮流もあった。ミスタードーナツは、そうした生食感のトレンドを取り入れつつ、自社のヒット商品であるポン・デ・リングが築いた“もちもち”という強みに、さらに柔らかく弾力のある“もっちゅり”食感を加えた。
世の中の潮流を捉え、自社商品にさらに工夫を加えたことが、2年連続となる全国的な大ヒットにつながったのである。
これらの商品によって、日本のドーナツの輪郭が明確になってきている。ポン・デ・リングのように、ブームを超えて定着するだろう。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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