「AIに選ばれ続ける修羅の道」か「ファンに愛される道」か さとなお氏が示す、AI時代を生き残る2ルート(2/2 ページ)
生成AIの普及で、消費者の「商品選び」が変わろうとしている。AIに商品を推薦してもらう時代、企業はどうすれば選ばれるのか。ファンベースの提唱者・佐藤尚之氏が考えを示す。
AI時代に重要になる「レビュー」と「誠実さ」
一方で、企業側が情報を整えるだけでは十分ではないという。佐藤氏は、実際の利用者によるレビューや体験情報が重要だと指摘する。
「AIはシューズを買えないし履けません。つまり、人間の体験や感想、そういったものは、AIには体験できないからこそ、とても重視する」
AIが評価しやすいのは、独自情報や一次情報を含むレビューだという。短い投稿よりも、実際の体験を詳しく書いた情報が引用されやすい傾向があるといい「口コミは量(件数)から質の方向に向かっている」と指摘する。
また、AIに選ばれるうえでは、企業の「誠実さ」も重要になるという。環境への配慮を掲げながら実際には取り組んでいない、人を大切にすると言いながら離職率が高い――、こうした企業の言動の矛盾をAIは判断材料にするという。
「なので真面目にやるしかない。AIをハックしてやろうみたいなことがAIにバレた場合、AIからもうずっと信頼されなくなります」
AI対策を表面的なテクニックにとどめず、実態そのものを改善する必要があると佐藤氏は指摘する。
「AIルート」と「ファンルート」 生き残るための二手の道
一方、すべてのブランドがAIの推薦上位に入れるわけではない。佐藤氏は、AIに選ばれないブランドの“生命線”として「ファン」を挙げる。
「例えば『ニューバランスとアシックスがいいのはよく分かった。でも俺はNIKEが買いたいんだ』というファンの存在。つまり『指名買い』です」
AIが合理的に商品を推薦しても「このブランドを買う」と決めている顧客は、その推薦を超えて購入する。佐藤氏は、こうした指名顧客を「ファン」と捉える。
便利だから、安いから、おいしいからという理由で買い続ける人を、ブランドのファンとは呼ばないと佐藤氏は強調する。「ファンはその企業に対する共感、ブランドへの愛着や信頼、そういったものをちゃんと持っている」
企業にとって重要なのは、まず現在いるファンを見つけ、その声に耳を傾けることだと佐藤氏は話す。
ファンとの関係を深めれば、繰り返し購入する「生涯顧客」につながり、ファンによる熱量の高いレビューがAIによる評価にも影響する。ファンを大切にする取り組みが、AIから選ばれるための力にもなっていくという。
佐藤氏は、これからのマーケティングを「AIルート」と「ファンルート」の2つに整理する。AIに選ばれ続けることは「修羅の道」であり、アルゴリズムも資本力も企業にとって不確実性が大きい。一方で、ファンとの関係構築は、企業が主体性を持って取り組める領域といえる。
AIが購買の入り口になればなるほど、企業にとって「いかに選ばれ続けるか」が重要になっていく。AIへの対応と、顧客との関係づくり。両方をどう積み重ねるかが、マーケティングの大きな課題だと佐藤氏は指摘している。
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