2015年7月27日以前の記事
検索
連載

みずほ銀行「2%還元、上限なし」の衝撃 なぜ、メガバンクは金利よりポイントなのか「ポイント経済圏」定点観測(2/4 ページ)

日銀の政策金利が1%まで上昇する中、3メガバンクは預金金利ではなく、クレジットカードのポイント還元で顧客獲得を競っている。みずほが打ち出した「常時2%還元」は、三井住友や三菱UFJの「最大20%」と何が違うのか。その狙いと背景を探る。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

「最大20%」と「常時2%」

 銀行がクレジットカードの上乗せ還元を提供する仕組みは、三井住友も三菱UFJも取り入れている。ただし、掲げる数字の性格は対照的だ。先行する2行がアピールするのは「最大」の数字であり、みずほが打ち出すのは「常時」の数字である。

 三菱UFJの「最大20%」は、三菱UFJカードを6月から37ブランドに広げた優遇店で使い、複数の条件を満たした場合の理論上の上限だ。通常の買い物での還元率は0.5%(1000円につき1ポイント、1ポイント5円相当で交換した場合)にとどまる。投資信託のクレカ積立でも、一般カードで0.55%、ゴールドで最大2.0%、プラチナで最大7.0%と、券種に応じて還元率に差を付けた。


三菱UFJでも最大20%還元を打ち出した(出典:三菱UFJ銀行)

 さらに8月に発表した「エムット Excellent Club」では、預かり金融資産3000万円以上または運用残高1000万円以上といった資産条件を満たす会員向けに、残高に応じて通常還元率が1.0%から最大1.6%まで動くプラチナカードを2027年度上期に出す計画だ。

 三井住友の「Olive」も同系統の設計で、看板は同じ「最大20%」だ。通常還元率は0.5%だが、セブン-イレブンやマクドナルドなど対象のコンビニ・飲食店でスマートフォンのタッチ決済を使えば8%まで上がる。

 2026年2月の改定では、Olive限定で7%から8%へ引き上げ、「三井住友カード(NL)」と差を付けた。ここに家族の登録で最大5%、Vポイントアッププログラムの条件で最大7%を上乗せすると、対象店での還元は20%に達する。


Olive限定で7%から8%へ引き上げた(出典:三井住友銀行)

 このプログラムにはSBI証券や住友生命との取引のほか円預金残高による優遇条件もあり、250万円以上で0.5%、2000万円以上で3%が付く。SBI証券のクレカ積立にも普通預金100万円ごとに0.1%(最大0.5%)を加算する。

 2行に共通するのは、看板となる数字は高いものの、そこに届くのは対象店舗で使い、家族登録や証券・保険・預金などの取引条件を積み上げた人に限られる点だ。「最大」の数字はあくまで看板であり、日常の買い物では0.5%にとどまる。

 三井住友が対象店での還元に取引条件を上乗せするのに対し、三菱UFJは新しいプラチナカードで、預かり残高に応じて通常の還元率そのものを変える。やり方は違うが、複数の取引を自行グループに集めた顧客に厚く払う点は同じである。

 これら「20%」に対し、みずほの2%は低く見える。だが対象店舗の限定も、残高に応じた階段も、還元額にも上限がない。引き落とし口座をみずほ銀行に指定して所定の登録を済ませれば、通常の対象決済すべてに付く。報道によれば、記者発表会でみずほ銀行側が重視したと説明したのも、最大還元率の高さではなく条件の分かりやすさだった。


3行の普通預金金利は0.40%で並ぶ(2026年8月3日〜)。三菱UFJの新プラチナカードは2027年度上期の計画で表には含めていない。各社公表資料から、ChatGPTを使って筆者作成

 もっとも、各行のいずれの還元率も、カード事業単体の採算だけでは説明しにくい。公正取引委員会の2022年の調査では、加盟店手数料の単純平均は2.70%で、発行会社と加盟店側の契約会社が別のオフアス取引に限れば、カード発行会社が受け取るイシュア手数料は取扱高の1.56%だった。

 当時の平均値ではあるが、1%を大きく超える還元を決済手数料だけで賄うのは難しい。3行の上乗せは、預金の獲得や証券・保険といった他の取引からの収益を見込んだ費用と考えるのが自然だ。預金金利は横並びのまま動かさず、「最大」か「常時」かで誰に払うかを選ぶ。それがいまのメガバンク3行による預金獲得の形だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る