返礼品がないなら作ればいい 泉佐野市が「65億円」を集めてヤッホーブルーイングを呼び込めた理由:地域経済の底力(1/5 ページ)
長野県軽井沢町に本社を構えるヤッホーブルーイングが、ふるさと納税3.0を利用して大阪府泉佐野市に醸造所を構えている。その狙いは何なのか?
著者プロフィール
伏見学(ふしみ まなぶ)
フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。
関西国際空港と大阪府泉佐野市をつなぐ空港連絡橋。そのすぐ近くに広がる「りんくうタウン」が今、大きく変わろうとしている。
泉佐野市、泉南市、田尻町の2市1町にまたがるこのエリアは地域振興の目的で開発され、9月に30周年を迎えた。
その2カ月前の7月23日、クラフトビールメーカーのヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)が「ヤッホーブルーイング大阪醸造所 よなよなビアライズ」を開業。醸造所にビアバーなどを併設した施設で、りんくうタウン駅から徒歩4分ほどの場所にある。現在の営業は金、土、日曜のみで、入場には事前予約が必要だ。予約は数カ月先まで埋まり、醸造所の見学ツアーは売り出すたびに即完売する人気ぶりとなっている。同社にとって、自社で運営する集客型施設はこれが初めてとなる。
ヤッホーブルーイングは長野県に本社と醸造所を構える企業だが、今回なぜ大阪に拠点を構えたのか。その背景にあるのが「ふるさと納税」だ。よなよなビアライズの総工費は30億円以上。その建設を後押ししたのが、ふるさと納税による寄付である。
この仕組みを“発明”したのが泉佐野市だ。名付けて「#ふるさと納税3.0」。企業や個人事業主と自治体が共同でプロジェクトを立ち上げ、ふるさと納税の寄付者からの支援によって新しい地場産品を生み出す仕組みである。
流れはこうだ。資金を調達したい事業者は、募集要項に沿って市に事業を提案する。市の審査で採択されると、ふるさと納税型のクラウドファンディング(CF)で寄付を募ることができる。寄付額が目標に届けば、事業者は市内で事業を始め、市から補助金を受け取る。寄付者にはその返礼品が届く仕組みだ。
この仕組みを活用した事業者は、市内外を合わせて60社に上り、同様の取り組みは他の自治体にも広がりつつある。ふるさと納税3.0はどのように作られ、利用されているのか。その現状を追った。
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