主戦場が変わった――“AIによるAI開発”現実に 「新モデルが毎月登場」の裏側、KDDI傘下のELYZAトップに聞く(3/3 ページ)
毎月のようにフロンティアAIの新モデルが登場する裏に「再帰的自己改善」(RSI)という技術がある。“AIによるAI開発”の現在地について、ELYZAの曽根岡CEOが語る
ELYZA、RSIでAIエージェント改善 タスク成功率47%→61%に
ELYZAは研究で、ステップ3「Human-on-the-loop」に達し、ほぼ全自動でハーネスを改善させることに成功した。AIエージェントに「問い合わせ応答タスク」を60件与えると、人間が作ったハーネスの成功率は47.5%だったが、AIが改善したところ成功率を61.9%まで向上させられた。
開発に使っていない、AIにとって初見の問い合わせ応答タスクでも、改善前後で成功率が34.3%から52.9%まで伸びた。同水準の精度を保ったまま推論コストを67%削減することもできた。
「問い合わせ応答タスクを実行→失敗や課題を特定→改善」というループを、AIが何度も繰り返してハーネスを設計し直した。「改善策A案で進めたが、行き詰まったからB案、それも効果がないためC案」というように、改善策を高速に回せる点がRSIのポイントだ。
AIの進化を巡る“脅威論” 必要な対策は
RSIを巡っては、AIが高度に進化し過ぎる“AI脅威論”も登場している。OpenAIのAIエージェントがAIプラットフォーム「Hugging Face」をハッキングした事例など、フロンティアAIによる侵害事件が相次いでいるためだ。
この懸念に対して、曽根岡氏は「Human-on-the-loopのようにAIが自律的に行動する段階では『隔離空間を作る』『モニタリングの仕組みを整える』『停止できるようにする』などの対策が、研究開発段階では非常に重要だ」と述べる。
「一方で、いま騒がれているのはRSIではなく、RSIの先にある『賢くなり過ぎたAIモデルをどうするか』という点だ。これは悪用リスクや使い方の話であり『変な挙動をしないようガードレールを構築する』など、モデル公開時の安全対策が重要だ」(曽根岡氏)
こうした安全面のリスクや、フロンティアAIの供給停止リスクを踏まえて、曽根岡氏は「RSIと呼ばれる動きについて、国内の解像度を上げることが重要だ」と指摘。国内でRSIに取り組んでいる企業は限定的だとして、ELYZAが取り組む意義を訴えた。
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