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「教育熱心」「お出かけ好き」 Vポイントが“AIペルソナ”で進める顧客理解 Olive連携、どれだけ“強み”を磨けるか(2/2 ページ)

Vポイントマーケティングは三井住友カードとの連携を機に、これまでの会員データに加え、カードの決済データの分析を進めている。カードの決済データで生活像を読み、購買履歴を生成AIで人物像に翻訳する。データを価値に変える打ち手を聞いた。

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購買履歴を「人物像」に翻訳するAIペルソナ

 Vポイントのデータを活用したいと考える企業の反応は「解像度の上がったお客さんがこれだけいる、これをどうするのか」という問いになって返ってくる。

 Vポイント会員を提携企業の役にどう立てるか。その答えの一つとして同社が研究開発を進めているのが「AIペルソナ」だ。CCC、および東京大学の松尾・岩澤研究室と連携するAI企業、松尾研究所との共同研究として、成果は2026年6月の人工知能学会全国大会に採択された。

 仕組みは、会員一人一人の購買履歴を数値の羅列から文章に変えることにある。

 9月10日に開催された「Snowflake World Tour Tokyo」で、AI戦略本部AI開発部チーフAIエンジニアの三浦諒一氏が手順を説明した。

 まず一定期間の購買を商品単位に集約し、意味の近い商品群をクラスターにまとめる。次に、クラスターごとに「こういった商品を買っている人はどんな人か」をLLM(大規模言語モデル)に書かせる。

 1人の会員に複数のクラスターができるので、同じ会員でも商品群ごとに複数の人物像ができる。それらを商品の推薦や趣味の把握など、分析の目的に合わせてまとめる。

 共同研究では、複数の業態の購買を結合したほうが、1業態だけで作るより会員の特徴を捉えられることを検証したと説明したという。


購買商品を特徴ごとにまとめ、LLMで人物像を文章化する。同じ会員でも商品群ごとに複数のペルソナ文ができる

 AIペルソナの使い道は2つある。

 1つはセグメントの読み解きだ。

 三浦氏によれば、缶コーヒーを毎日買う会員を抽出したとき、従来の定量分析で把握できるのは、年代別のボリューム情報などにとどまっていた。そこにペルソナ文を重ねると、どんな生活をしている人たちなのかを文章で理解できる。

 もう1つは仮想インタビューだ。

 セグメントのペルソナ文をLLMに人格として与え「趣味は何ですか」「普段どんな食事をしていますか」と聞く。

 廣田氏はこれを商品開発の手前に置く「一次スクリーニング」と位置付ける。V会員に実際にアンケートやインタビューをすれば金も時間もかかる。「40代男性で健康に関心がある人は、次にどういうものに興味を持つのか」といった問いを仮想的に何本も投げ、企画のタネを試したうえで、最後に実際の会員に聞いてみる。

 「1回目で正解にたどり着くことは少ない。何度もトライアンドエラーする手前を仮想的にやれると、企画のタネやバリエーションを試せる」と廣田氏はいう。

 AIペルソナから返ってくるのはAIが生成した答えで実在の会員の発言ではないものの、企画の“壁打ち相手”として力を発揮するというわけだ。


会員ペルソナを設定したAIに、趣味や食生活を尋ねた例。回答はAIによる生成であり、実在の会員へのインタビュー結果ではない

 松井氏が期待するのは、人に聞いてもなかなか出てこない回答を得ることだ。

 「人間に聞くと、意外と常識的な回答が返ってくることが多い」。アンケートでは出ない突飛(とっぴ)な案も把握できれば、商品開発の材料になるのではないかと話す。

 ただし現状は実証実験の段階である。ペルソナの精度は検証中で、AIのバイアスを抑えるチューニングも並行している。ペルソナ文の正確性と公平性を評価する指標の確立や、提携企業にどの程度の付加価値で提供するかも、これから並行して検討する。

グループ横断の「広告配信」も強化 「手ごたえはいい」廣田社長

 会員理解を生かすサービスや広告の打ち手は「まだまだ弱い」と松井氏は認める。

 今後の戦略の柱になるのは、グループ横断の広告配信だ。Vポイントアプリ、三井住友カードのVpass、三井住友銀行のSMBCダイレクトの画面に、会員理解に基づいてセグメントした広告を掲載する。

 廣田氏によると年明けの開始を目指しており、事前の営業では「かなり手応えはいい」。「中に(三井住友カードのグループに)入っていなければ絶対にできなかった案件」だという。

 松井氏は広告事業の柱を2つに整理する。

 会員にはプラットフォームとしてサービスを良くし、エンゲージメントを高める。メーカーには、その会員に向けた紹介や提案の場を提供し、商品開発そのものも支援する──という2つの視点での価値向上に取り組んでいく。

 前者が進むほど後者の価値が上がる、という循環である。その入口はID連携の進み方にあり、廣田氏によればそのハブはOliveだ。


グループ各社のアプリを横断する広告配信サービスを開発中。カード決済データとVポイントの購買データを配信に活用する構想だ

 共通ポイントの競争軸は、使える場所や貯まる量から、会員をどれだけ理解し、そのデータを活用するかへと移りつつある。

 AIが会員を理解する精度をどう高め、計測していくか。そして、金融データをどこまで同意の下で活用していくか。この2つの線引きは、今後、金融とポイントを束ねる他のサービスにも同じように問われることになるだろう。

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