サーバ不要で監視カメラの活用はここまで変わる 「Surveillance365」がビジネスにもたらす新しい選択肢
監視カメラの録画サーバ設置や保守作業は大きな負担になる。この課題を解決するのが、Synologyのクラウド型監視ソリューション「Surveillance365」だ。サーバ不要の手軽さに加えて、AI検知による運用の効率化から現場とのコミュニケーション活用まで、その実力に迫る。
防犯や安全管理など物理セキュリティの要である監視カメラシステムは、いまや欠かせないインフラだ。しかしこのシステムの在り方は、時代の変化に対応できていると言えるだろうか。
「監視カメラシステムの運用形態は、長年大きく変わっていません」と指摘するのは、Synology Japanの齋藤満氏だ。「監視カメラが必要な多くの場面では、映像を記録するためにNVRやNASなどの機器を各拠点に設置して運用管理しています」と続ける。
こうした運用はカメラの台数や画質、保存期間に応じたストレージ容量を事前に見積もる必要がある。ネットワーク設定やファームウェア更新、障害時の原因特定、ユーザーの権限管理といった保守作業も拠点ごとに発生する。
主要オフィスや大規模な工場なら、こうしたオンプレミス型の構成でも問題なく機能するかもしれない。だが、監視カメラの設置環境が頻繁に変わる場合は事情が異なる。特に「多拠点展開」「短期利用」「移設」を伴う場合は課題が顕在化しやすい。
建設現場では、工期に合わせて監視カメラシステムを素早く立ち上げて、撤収後に別の現場に展開する必要がある。教育機関では校舎、体育館、屋外スペースなど設置場所によって要件が異なる。小売りチェーンでは、店舗数の拡大に合わせて監視体制も拡張しなければならない。
そうした変化が起こるたびに機器を設置・設定して保守する運用は、IT部門や担当者にとって大きな負担になる。結果として、監視カメラの導入そのものが遅れたり、必要な台数を確保できなかったりする事態も起こり得る。
監視カメラシステムに求められる役割も変化した。従来の「事故や不祥事の発生後に映像を確認する」ための証跡を残すという目的に加えて、昨今は「異常を検知して通知・対応する」役割も強く求められている。運用の負荷とニーズの変化という二重の課題に対して、従来の仕組みでは限界が見え始めている。
導入はシンプル、運用は軽く、AI機能も標準搭載
これらを解決するのが、Synologyのクラウド型監視ソリューション「Surveillance365」だ。複数拠点のカメラをクラウドで一元管理する「VSaaS」(Video Surveillance as a Service)に該当する。
「対応するSynology製カメラを電源とネットワークに接続するだけで、Webポータルやモバイルアプリで監視環境にアクセスできます。現地に録画サーバを置く必要がなく、専任のIT担当者がいない拠点でも容易に立ち上げられるのがメリットです」
Synologyは2008年にオンプレミス型「Surveillance Station」を発表して以来、監視カメラやNVR、VMS、ストレージ、AI分析などを網羅するエコシステムを築いてきた。Surveillance365は、この実績をクラウド領域に拡張したソリューションだ。Synologyの監視エコシステムで機器導入から日常のモニタリング、アカウント管理、データ保護まで一気通貫で提供する。
Surveillance365は、プラグ&プレイ感覚で手軽に導入できる。録画サーバの設置、ストレージ容量の事前設計、拠点ごとの設定といった作業は不要で、カメラを追加すると運用をスタートさせられる。
「新規店舗の出店や建設現場のように、短期間で監視体制を構築したいケースでは導入スピードが真価を発揮します。現地の担当者がカメラを設置して本部がポータルで状態を管理する、といった役割分担も容易です」
映像データを常時アップロードする仕様ではない点もSurveillance365の特徴だ。映像はカメラ内のmicroSDメモリーカードに保存して、設定したスケジュールと帯域制限に応じてアップロードされる。帯域消費を抑えた設計によって、ネットワーク環境が不安定な現場でも監視を維持できる。
標準搭載のAI検知機能も強力だ。「特定エリアへの人の侵入」「車両の侵入」「人や車両による指定ラインの通過」などを自動で検知するので、担当者がモニターに張り付いて監視する必要はない。スマートフォンのプッシュ通知や大型サイネージへの表示によって、異変へ即座に対処できる。
クラウドでも安心して使えるセキュリティ対策
クラウド型システムを検討する際、多くの企業が懸念するのがセキュリティ対策だ。
Surveillance365はこの点でも対策を講じている。まず注力しているのが、カメラ本体のハードウェアの信頼性向上だ。「NDAA」(米国国防権限法)や「TAA」(米国貿易協定法)の基準を満たすサプライチェーンから部品を調達して、製造段階でのバックドア混入リスクを排除している。その上で、強固なセキュリティ設計と脆弱(ぜいじゃく)性対策を講じることで、不正アクセスやマルウェア感染を防いでいる。
通信経路の保護も徹底している。カメラからクラウドへのデータ送信は暗号化するのに加えて、ユーザーが映像閲覧する際の通信も暗号化して、保存時だけでなくリアルタイム視聴時も含めたエンド・ツー・エンドの安全性を確保している。
アクセス管理も柔軟だ。MFA(多要素認証)に対応している他、閲覧権限をアカウントごとに設定できるため、拠点の追加や人事異動の際もカメラ単位の再設定は不要だ。
「多拠点の監視カメラ運用は『誰がどの拠点の映像を閲覧できるのか』の統制が欠かせません。Surveillance365なら、本部は全店舗、エリアマネジャーは担当エリア、店長は自店舗といった形で閲覧権限を分けられます。アカウントの使いまわしや権限の過剰付与を避けて情報を担当者に届けられるため、運用効率とガバナンスの両立が可能です」
クラウド基盤も国際規格「ISO/IEC 27001」に準拠して運用されている。Synologyのネットワークセキュリティ専門チームが、NAS開発で培ったセキュリティ知見を注いでおり、ハードウェアから通信、アカウント管理、クラウドインフラまで多層的な防壁を築くことで、クラウド導入に対する企業の不安を解消している。
防犯から店舗運営へ 実証実験で見えたコミュニケーションへの活用
Surveillance365の活用例として見逃せないのが、手作りサンドイッチの製造・販売を手掛けるメルヘンでのPoC(概念実証)だ。
駅構内やデパ地下など中心に多店舗を展開している同社は、以前は倉庫などでオンプレミス型のSurveillance Stationを利用していた。さらなる店舗展開を見据えて、Surveillance365の検証を開始した。
検証を通じて評価されたのは、録画サーバを店舗に設置する必要がないという手軽さと無線LAN対応カメラによる設置の自由度だ。スマートフォンアプリとカメラの双方向音声機能を組み合わせることで、店長や管理者が店内やバックヤードで働くスタッフと簡単にやりとりできる点も好評だったという。
「ショーケース周辺や調理の様子をリアルタイムで確認しながら、本部や管理者がスタッフに直接声をかけられます。電話だけでは伝わりにくい現場の状況を映像と音声で把握して、的確な作業指示やフォローが可能になりました」
店舗の確認やスタッフとの連絡を効率化・円滑化できることは、管理コストの低減や店舗運営品質の改善、ひいては顧客満足度の底上げにも直結する。
この事例は監視カメラが「防犯・証跡用」にとどまらず、店舗運営や現場とのコミュニケーションを支えるツールとしても活用できることも示している。Surveillance365は、映像を「過去の記録」から「リアルタイムな業務判断の材料」へと変革する可能性を秘めている。
Synologyは将来的に、オンプレミスのSurveillance StationとクラウドのSurveillance365を単一プラットフォームに統合する構想を掲げている。小規模拠点はクラウド、大規模拠点はオンプレミスと使い分けながら、同一画面で一括管理できる環境を目指している。監視カメラを単なる「守りの設備」から現場を可視化する「攻めの経営基盤」へと進化させる上で、Synologyの監視エコシステムは有効な一手になるに違いない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:Synology Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年11月5日






