日産、全社基盤「Nissan.DATA」は何がすごい? 「使えば使うほど、会社が賢くなる」仕組みの構築(1/2 ページ)
日産自動車では、全社データ基盤の運用を進める一方、多様なデータをいかにAI時代に即した「組織の知」へ進化させるかが課題となっていた。「Data for AI、AI for Data」を掲げ、データとAIの循環を高める同社の挑戦に迫る。
AIサービスを導入する前に、社内に蓄積されたデータを、AIが扱いやすい形に整え、継続的に使える環境をつくる必要がある。
日産自動車では、全社データをプラットフォーム「Nissan.DATA」に集約し、データ活用の土台づくりを進めている。設計、製造、営業などの業務部門が直接利用できる環境を整え、2026年度第1四半期には400以上のプロジェクトが利用する基盤になっているという。
現在は、Nissan.DATAに集約したデータをAIで活用する取り組みを進めている。その際、構造化データと非構造化データをAIが扱える「AI-Readyデータ」に変換するために、重要な役割を果たしているのが「AIデータファクトリー」だ。
「スローガンは『Data for AI、AI for Data』。データを先に整備して、それをAIが使うことによってAIは生きる」
こう話すのは、日産自動車 グローバルデジタルプラットフォーム本部 エンタープライズデータ&AIサービス部 主担の河内良二氏。同社はNissan.DATAをどのように全社のデータ活用基盤へと育て、AI時代のナレッジ基盤へと発展させようとしているのか。
本記事は米Snowflake主催イベント「Snowflake World Tour Tokyo 2026」におけるセッション「全社データ基盤 “Nissan.DATA” が拓くAI活用の新章」を基に構成。
400プロジェクト超が頼る「Nissan.DATA」 業務部門が直接使える環境に
日産がビッグデータの活用に取り組み始めたのは、約10年前。最初は「ビッグデータプラットフォーム」というオンプレミスのサービスを運用していたが、障害対応やメモリ増強など、運用や拡張に伴う負荷が課題となった。
そこで2019年ごろから新たなプロジェクトの構想をスタートし、クラウドサービスとして「Snowflake」(スノーフレーク)の利用を始めた。
新プロジェクトのコンセプトは、社内にあるさまざまなデータを集約して、シングルソースオブトゥルース(SSoT:信頼できる唯一の情報源)の環境を提供すること。
対象となるのは、業務アプリケーションのデータや工場のIoTデータ、車両から得られるIoTデータ、サードパーティー製アプリのデータ、各部門が持っているExcelデータなど。これらを集約した上で「安全で信頼性の高い」データ分析環境を提供しているという。
データ基盤はIT部門だけが利用する環境にはせず、業務部門が直接使えるサービスとして設計しているという。
「データ活用の検討、計画、設計、データ分析や可視化、その後のオペレーションまで一気通貫でサービスを設計している」
データカタログや過去の分析事例を検索できる「ユースケースカタログ」、データ活用の相談を受ける「コンサルテーションセンター」などを提供している。
こうしたサービスを通じて業務部門のデータ活用を支援した結果、2021年度の正式ローンチ以降、Nissan.DATAは利用が着実に拡大し、2026年度第1四半期時点で400以上のプロジェクトが利用する基盤となった。
AIを“使えば使うほど”社内の「知」がたまる仕組みの構築
Nissan.DATAの次の段階として進めるのが「Nissan.DATA & AI」だ。
「会社の知を高品質にナレッジ化し、従業員がAIプラットフォームを通じて効率的かつ安全に引き出せる状態にするのがビジョンだ」
AIが価値を生み出すには、信頼できる高品質なデータが必要になる。そこで日産では、データを一元管理する「ゴールデンデータリポジトリ」を整備し、AIが利用できる状態をつくる。
「AIのプロジェクトによって新たな知が生成されたら、得られた知見は整理体系化して、新たなデータとして共有活用し、またゴールデンデータリポジトリに還元しましょうというのが、私たちが目指すAIストラテジーです」
AIが既存のデータを利用するだけでなく、AIによって生まれた知識もデータとして蓄積するのがNissan.DATA & AIの構想だという。
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