2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

なぜ快活CLUBの客がスーツを買う? AOKIHDが業界首位に躍り出た「4500万人データ」と多角化の秘密(1/3 ページ)

AOKIホールディングスは2026年3月期、連結売上高で青山商事を初めて上回り業界首位となった。勝因は30年前から推進する多角化(非アパレル比率47%)と、4500万人分の統合顧客データだ。「快活CLUB」で獲得した10代の顧客を、18歳時点での「AOKI」のスーツ購入へと相互送客する仕組みを構築。「FiT24」や「アニヴェルセル」など「コト」と「モノ」を掛け合わせる新時代のデータ経営に迫る。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 AOKIホールディングス(AOKIHD)の2026年3月期の連結売上高は1945億円となり、紳士服業界首位の青山商事の1890億円を初めて上回った。AOKIHDはビジネスウェアの「AOKI」「ORIHICA」に加え、結婚式場「アニヴェルセル」、複合カフェ「快活CLUB」、カラオケ「コート・ダジュール」、フィットネスジム「FiT24」を展開する。1990年代からブライダル、カラオケ、複合カフェへと事業を広げてきた 。

 売上高に占めるアパレル以外の事業の比率は、青山商事の約34%に対し、AOKIHDは約47%に上る。快活CLUBは2024年10月末時点で489店舗を構え、店舗数で国内首位の複合カフェだ。快活CLUBやFiT24などのエンターテイメント事業の売上高は767億円で、営業利益は72億円と、ファッション事業の85億円に迫る。ファッション事業単体の売上高は1028億円で、青山商事のビジネスウエア事業の1242億円を下回っている。

 業界首位に立てた要因は、30年前から愚直に推し進めてきた「ポートフォリオ経営」と、グループ4500万人分の顧客データを一元化した巨大基盤だ。本来なら接点を持てない10代のネットカフェ利用者を、いかにして新社会人スーツの顧客へと変え、フィットネスジムの会員にスポーツウェアを売るのか。単なるアパレル企業の枠を超え、異業種間の相互送客によって最高益を更新し続ける戦略を、AOKIHDの青木彰宏会長と、AOKIの立川延之専務に聞いた。

photo
AOKIホールディングスの青木彰宏会長(以下撮影:河嶌太郎)

「10代の快活CLUB客」を新社会人スーツへ 4500万人データ基盤で相互送客

――AOKIHDは2026年3月期、ブライダルや複合カフェなどを含むグループ全体の連結売上高で、業界首位の青山商事を初めて上回りました。この要因を、どう分析していますか。

青木: 首位を取ること自体を目指してきたわけではありません。当社はもともとポートフォリオ経営を進めてきました。スーツ市場が縮小していくことを見据え、30年前にポートフォリオ経営を戦略として選んだのです。多角化で始めた各業態も、20〜30年の歴史があります。

 それぞれの業態で経営チームがしっかり育ち、チェーンストア経営を学びながら多店舗化を進めてきました。来店する顧客のニーズやウォンツに応え、新しい価値を持つ商品やサービスを生み出してきたことが、最も大きな要因だと考えています。

 各業態の経営チームが見ているのは、業界での順位ではありません。顧客のニーズやウォンツをどうサービスや新商品に変えていくか。そこを徹底してきた結果です。

――ファッション事業に限らず、グループ全体でも顧客データを活用しています。どのように取り組んでいるのですか。

立川: 当社グループには、ファッション、エンターテイメント、ブライダルの各事業に豊富なデータがあり、さまざまな形で活用しています。そのデータは、AOKIHDでクレンジングしています。クレンジングとは、住所が正しいかを確認するなど、変化していく顧客データを最新の状態に整える作業のことです。活用しやすく整えたデータを、各事業やさまざまな媒体で使っています。

青木: 現在は、約4500万人分の顧客データを1つのデータ基盤に統合する作業を完了しています。これにより、事業間の相互送客が可能になりました。

 例えば、快活CLUBは10代の利用者が多い業態です。一方AOKIにとって、社会人になる18歳前後の顧客は非常に重要な市場ではあるものの、この層の顧客データはもともとありませんでした。快活CLUBを入り口として獲得した顧客データをもとに、就職活動や入社を控えた若者向けのスーツなどへ送客することが実現可能になりました。

photo
AOKIの立川延之専務

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る