「AOKI→快活CLUB」で人材が往来!? AOKIグループを支えるDXに迫る(1/3 ページ)
AOKIホールディングスは、グループ内の人材を業種横断的に活用できる体制を整備している。この基盤を支えているのがDXだ。3業種にわたる人事交流をITによって、いかにして実現しているのか。
1958年に創業し、紳士服を中心とするファッション事業を中核に成長してきたAOKIホールディングス。1990年代以降はカラオケ店のコート・ダジュールや複合カフェの快活CLUB、フィットネスジムのFiT24を核とするエンターテインメント事業、さらにアニヴェルセルなどブライダル事業の3業種にわたる多角化経営を進めている。
この背景には、少子高齢化やライフスタイルの変化に対応するため、事業構造を一業態依存から脱却させ、複数市場で安定的な収益基盤を築く狙いがある。さらにその特徴は、単に個別に事業を拡大しているだけでなく、グループ内の人材を業種横断的に活用できる体制を整備している点にある。
これにより、ファッション店舗の接客経験を持つ社員が快活CLUBで顧客対応を学び、あるいはブライダル事業で培ったサービス感覚をファッション店舗に持ち込むことが可能だ。人の流動性を仕組み化することで、接客力やサービス水準をグループ全体として向上させている。
この基盤を支えているのがDXだ。3業種にわたる人事交流をITによって、いかにして実現しているのか。AOKIHD副社長に聞く「チェーンビジネスの要点」 地域に最適化した「カセット型DX」とは?に続き、AOKIホールディングスの照井則男副社長に聞いた。
照井則男 1996年に日本マクドナルド株式会社入社。2003年にスターバックスジャパン株式会社入社。2008年4月にVice Presidentに就任し、本国と連携をとりながらシステムデザインから設計までの刷新に取り組む。2015年に株式会社AOKIホールディングスに執行役員 情報システム副本部長として入社。2018年に常務取締役 情報システム本部長、2019年6月グループ情報システム担当を経て2023年6月に取締役副社長執行役員に就任。ほか株式会社ランシステム取締役、 株式会社快活フロンティア取締役執行役員を現任している。68歳。東京都出身(撮影:河嶌太郎)
越境で育つ人材 DXで支える現場
――スーツのAOKIと快活CLUBとの間など、グループ内で業種を越え人材が行き来するケースがあると聞きました。こうした人事交流はグループとして、どんな位置づけなのでしょうか。
社員の人事交流については、われわれの強みの一つと考えています。顧客との接点は業態によって大きく異なり、場合によっては「ぐいぐい接客されると嫌だ」という方もいれば、「きちんと声をかけてもらいたい」という方もいます。その感覚を理解するのは、一業態だけを経験しているだけでは難しい部分があります。
だからこそ、異なる業態を経験させることによって、顧客接点の多様性を学んでもらう。それが社員育成の大きなポイントです。快活CLUB、フィットネス、ファッションといった複数の業態を横断して経験すれば、顧客対応における“さじ加減”を自然と身につけられる。これこそがわれわれのスタイルです。
――例えばニトリグループでは「配転教育」という人材育成をしていますが、それに近い施策のようにようにも思います。
そうですね。ニトリさんも物流からITまで幅広く経験させる仕組みを持っています。われわれも同様に、社員が異なる領域を横断して経験することを通じて成長できるようにしています。上層部まで含めて幅広い分野を経験していることで、組織としての強さにもつながると思います。
――社員育成の流れとしては、一通りの業態を経験してから本格的に役職を担う、という形になるわけでしょうか。
そうです。ただ、その際に重要になってくるのがITやDXの仕組みです。人の成長を支えるには、それを可能にするサービス基盤をバックヤードで整えておく必要があります。
例えばレジ業務であっても、違う業態から入ったスタッフがすぐ対応できるようにしなくてはいけません。また、ファッション事業では店員が持っているスマホ型接客用端末があれば、過去の購入履歴からサイズや好みが分かり、それをベースに接客できるようにしています。
スーツは特に販売が難しい商品ですが、この仕組みを導入すれば、経験の浅いスタッフでも決済までスムーズに接客を進められます。だからこそ、快活CLUBのスタッフがAOKIの店舗に入っても、一定レベルの接客を可能とする体制を作り上げています。
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