トイレ掃除「90%」自動化も “ペッパーくん”でお馴染み、ソフトバンクロボティクスが語る「フィジカルAI」の勝ち筋(2/2 ページ)
AIが現実世界で動く「フィジカルAI」。人手不足の解消や生産性向上が期待される一方、現場への導入には課題もある。ソフトバンクロボティクスの事例から、日本の現場が持つ強みと、フィジカルAIを活用するための条件を探る。
トイレ掃除の「90%」を自動化 業務の再設計が重要に
ソフトバンクロボティクスは、AIロボットを活用した清掃会社SmartBX Solutions(東京都港区)をグループ会社に持つ。ビルメンテナンス業界では、人手不足や熟練者への依存が課題となっている。オフィスや商業施設、ホテルなどで清掃や設備管理が実施されているが、現場で誰が何をどれだけ行っているのか、十分に把握できていないケースもある。
同社は当初、ロボットメーカーとして、清掃会社などにロボットを販売していた。しかし、ロボットを導入しても隅々まで清掃できない、現場が使いこなせないといった課題があった。
そこで自ら清掃会社を設立し、ロボットを活用した清掃サービスの提供に乗り出した。
取り組みの1つが、トイレ清掃の自動化だ。トイレ清掃は清掃業務全体の約3割を占め、人手の確保が難しい業務でもある。
SmartBX Solutionsでは、トイレ清掃の約90%を自動化し、残る約10%を遠隔操作(テレオペレーション)で補う運用を進めている。ドアの開閉や水を流すといった作業は、遠隔操作で人がサポートする。清掃ロボットによる作業を通じてデータを蓄積し、トイレ以外の清掃業務にも活用する考えだ。
ホテルの客室清掃の品質管理にもAIを活用している。作業者がスマートグラスを装着して清掃すると、その作業内容をAIが分析し、品質チェック項目を満たしているかなどを確認する仕組みだ。
作業の様子や品質をデータ化すれば、属人的になりがちな業務を可視化し、改善につなげられる。こうしたデータの蓄積が、AIやロボットを現場で活用するための基盤となる。
製造現場に必要な「ロボットフレンドリー」な環境づくり
フィジカルAIを現場に定着させるには、ロボットの性能を高めるだけでなく、ロボットが働きやすい環境を整えることも重要だ。
ロボットは、通路の幅や段差、設備の配置などによって、移動や作業が制限される。人と同じように動けるロボットを開発するには、技術面の課題に加え、コストや時間もかかる。
そこで必要になるのが、施設側の環境を見直す「ロボットフレンドリー」という考え方だ。例えば、ロボットが通行できる通路幅を確保したり、移動の妨げになる段差を減らしたりする。施設の設計段階からロボットの利用を想定し、環境を整えておくことで、導入や運用がしやすくなる。
フィジカルAIが普及する未来に向け、今から始めるべきこと
フィジカルAIの進化によって、これまで人が担ってきた作業をロボットがこなせる場面は、今後さらに増えると考えられる。では、企業は導入に向けて何から始めればよいのか。
池田氏は「現場の作業を徹底的に分析し、カメラやセンサーなどを使って、できる限りデータ化すること」が重要だと繰り返す。業務を細かく分解し、AIで効率化できる作業、既存のロボットに任せられる作業、新たな技術開発が必要な作業、人が担うべき作業に切り分ける。必要に応じて、業務の進め方や現場の環境も見直していく。
池田氏は「ロボットの数よりも、どこをロボットが担い、どこを人が担うのかを設計して最適化していくことが重要だ」と話した。
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