なぜ今「G-SHOCK」が若者に売れるのか 新製品を減らして定番を売る理由:カシオの戦略転換(1/5 ページ)
カシオ計算機の「G-SHOCK」が若者に再び支持されている。販売戦略や販売施策について、担当者に聞いた。
カシオ計算機の耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」が、若年層の支持を集めている。2026年4〜6月期には、定番モデルやコラボレーションモデルが好調に推移。時計事業の売上高は前年同期比29%増の510億円となり、同社は業績予想を上方修正した。
好調の背景にあるのは、単に新製品を投入し続けることではない。人気モデルを長く訴求する戦略への転換や、顧客データを活用した販売施策が奏功しているという。かつてG-SHOCKに親しんだ世代だけでなく、新たな若年層を取り込むために、カシオは何を変えたのか。時計事業部長の高橋央氏と、国内営業の畠弘紀氏に話を聞いた。
新製品を次々に出す戦略から、定番モデルを長く売る戦略へ
「G-SHOCKの売り上げは2025年度下期に下げ止まり、2026年度に入って復調している。4〜6月期だけでなく、その後も好調が続いている」(高橋氏)
同社の決算説明資料によると、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の時計事業の売上高は510億円で、前年同期の395億円から増加した。G-SHOCKの販売個数は、BABY-Gを含めて約165万個。前年同期の約155万個を上回った。
販売回復を支える施策の1つが、商品投入と販促の考え方を見直したことだ。
以前は、新製品を発売するたびに店頭や広告で取り上げ、次の商品へと訴求を移していく方法が中心だった。しかし、市場が下降傾向にある中で同じ戦略を続けると、流通在庫が積み上がるだけでなく、少し前に発売した商品への関心も薄れてしまう。
そこで同社は、新製品を出し続けるのではなく、G-SHOCKを象徴する「アイコニックモデル」の販売に注力する方針へと転換した。
具体的には、角形フォルムの5000シリーズや、薄型でコンパクトな2100シリーズなどが中心だ。決算資料でも、エントリーラインの定番モデルである「GA-2100」や「GW-M5610U」が好調に推移したと説明している。
高橋氏は、長く売れ続けている商品には、それだけの理由があると考えている。
「長い間売れ続けている商品には、何かしら良いところがある。そのデザイン性や、製品が発するアイコニックなブランドイメージが若者に刺さっているのではないか」
定番モデルに広告や店頭展示、デジタル施策を連動させ、継続的に露出することで、認知から購入までの流れをつくる。さらに、購入者の口コミによって商品の魅力が広がれば、ブランドそのものへの理解も深まる。
新製品の話題性だけに頼らず、既存商品の価値を繰り返し伝えることが、販売の回復につながっている。
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