なぜ今「G-SHOCK」が若者に売れるのか 新製品を減らして定番を売る理由:カシオの戦略転換(3/5 ページ)
カシオ計算機の「G-SHOCK」が若者に再び支持されている。販売戦略や販売施策について、担当者に聞いた。
8万円台のフルメタルも、20〜30代が選ぶ
若年層の支持は、比較的手頃な価格帯のモデルに限らない。近年、存在感を高めているのが、金属素材を採用したフルメタルモデルだ。樹脂製の時計という従来のイメージにとどまらず、質感の高いメタルモデルも選択肢に加わっている。
国内では、定番5000シリーズのフルメタルモデル「GMW-B5000D」などが好調だ。8万円台のモデルを20〜30代が購入し、スーツスタイルに合わせる傾向も見られるという。
GMW-B5000シリーズは、1983年に誕生したG-SHOCK初号機「DW-5000C」の象徴であるスクエアデザインはそのままにフルメタル化し、スマートフォンリンクをはじめとした先進機能を搭載したモデル(出典:公式Webサイト)
国内営業を担当する畠氏は、こうした動きを新たな顧客層の広がりと捉える。
「これまでG-SHOCKを自分向けの商品だと思っていなかった人でも、フルメタルモデルを目にすることで、時計としての質感やファッション性に気付く。そこからブランドへの関心が生まれる可能性がある」(畠氏)
決算資料でも、定番モデルの販売回復に加え、メタルモデルへの波及が好調要因として挙げられている。若年層への訴求を続けることで、エントリーラインから中価格帯のメタルラインへと、商品の魅力が広がり始めている。
顧客データから「1本目」と「2本目」の購入を把握
こうした販売戦略を支えているのが、顧客データの活用だ。
カシオは、顧客が登録する「CASIO ID」をはじめ、ECサイトや直営店で得られる情報を活用している。高橋氏によると、顧客データの収集自体は以前から進めてきたが、ここ2〜3年で、商品企画や販売戦略に生かせる仕組みが整ってきたという。
例えば、顧客がどのようなモデルと比較して購入したのか。色や価格、カテゴリーのどこに関心を持ったのか。最初の1本を買った後、次にどのようなモデルを選ぶのか。こうした情報を分析することで、顧客がブランドに興味を持つきっかけや、次の購入につながる経路が見えてきた。
「最初にどのモデルを買い、次に何を買うのかが分かってきた。顧客がどこから入ってきて、何に興味を持ったのかを見ながら、商品や販売戦略を考えられるようになっている」(高橋氏)
広告や店頭で一律に商品を紹介するだけでなく、顧客がどのような経路でブランドにたどり着き、何を魅力に感じるのかを把握する。そうすることで、定番モデルの訴求と新しい商品の提案をつなげやすくなる。
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